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企業法務・英文契約

東南アジアで商品を展開するにあたり、現地の会社との間で契約書を交わすことになりました。英語または先方の母国語で作成しなければならず、困っています。

相談者
年代:A社

ご相談の経緯

東南アジアの企業と契約書を交わしたい

東南アジアの国で自社製品を販売することになったA社。これまでも日本国内の企業とは契約書を交わしてきましたが、海外の企業と契約するのは初めてです。契約書は英語かその国の母国語で作成しなければならず、不慣れなこともあり英文契約に詳しい弁護士に依頼することにしました。

ご相談のポイント

日本語の契約書を英訳するだけでは使えない

東南アジアの国々では契約書は基本的には母国語か英語です。その際注意しなければならないのは、日本国内で使用している契約書をそのまま英訳しても海外で通用するものにはならないという点です。日本国内の企業間では共通した法律のもとビジネスが行えますが、海外の企業と取引を行う際にはその国の法律に基づいて契約書を交わさなければなりません。そのため、語学力だけでなく各国の法知識や商慣習を身に着けておく必要があります。

たちばな総合法律事務所に依頼された結果

有利な条項を盛り込み、長期的に安定した取引に

今回は東南アジアの国に自社商品を輸出販売するということで、長期かつ定期的な取引を目的としています。契約書作成時には不備不足、こちらに不利な内容が含まれていないかのチェックはもちろんのこと、最低数量や品物を裁く最低発注量なども決めて、こちらが有利になるような条項を盛り込みました。不足のない英文契約書を作成したことにより、現在もA社は大きな紛争を起こすことなく円滑にその国でのビジネスを成功させています。

弁護士からのコメント

契約書は紛争を未然に防ぐための重要なツール

言語、商慣習が同じ日本国内でも企業間紛争が起きると解決するためには非常に大きなコストがかかります。それが海外の企業を相手にとなるとその比ではありません。契約書は単に商品の売買をするための条項を決めるだけではなく、紛争を予防するための重要なツールです。英語が不得意だから、よくわからないからと相手企業の提示する契約書を吟味せず締結してしまうと、こちらに不利な内容であったり違法なものが含まれていたりする場合もあるので注意が必要です。言語の正確性だけではなく、その国の法律や商慣習などを含めて慎重に確認するようにしてください。

まとめ

英文契約に限らず、契約書はビジネスにおいて法的な権利義務を定めるための重要なツールです。日本では徐々に浸透しつつはありますが、まだまだ形式的な面が強く、きちんとビジネスの内容が反映されたものになっているかというとそうでない契約書も多々あります。円滑に取引が行われている間は気づかないものですが、ひとたびトラブルが起きた際に不備のある契約書では思わぬ損害を生んでしまう可能性があります。不備のある契約書で締結してしまう前に専門家のチェックを受けることをおすすめします。

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