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企業法務・売掛金回収

取引先からの支払いが滞るようになり、調べてみると社長の息子が新会社を立ち上げてほとんどの仕事を新会社で行っている様子。なんとか売掛金を回収したいのですが、可能でしょうか。

相談者
年代:A社

ご相談の経緯

売掛金未回収のまま、商権が息子の新会社に…

取引先のB社の支払いが滞り始めた頃、B社の社長の息子が別会社を設立しました。

怪しいなとは思っていましたが、どうやらB社の要であるはずの大切な機械も商権も息子の会社にそっくり移してしまったようです。このままでは売掛金の回収もできません。今からでもどうにかできないかと当事務所に相談に来られました。

ご相談のポイント

新会社への財産の移転は財産隠し行為

A社とB社の契約はA社とB社においてのみ有効です。そのため、B社の息子の新会社がどれだけB社と密接な関係であったとしても、B社の売掛金を息子の新会社に請求することはできません。今回の場合、B社にはほとんど資金が残っていないため、売掛金の回収をしたいならば訴訟しか選択肢がありません。B社の行ったことは財産隠し行為に当たり、裁判所で認められれば免責不許可事由となり、B社には返済義務が課せられます。また、悪質と認められれば刑事告発の対象になります。

たちばな総合法律事務所に依頼された結果

売掛金を超える訴訟費用のため、回収を断念

訴訟を提起すれば売掛金回収の見込みは高かったのですが、訴訟にかかる費用が売掛額を超え、経費倒れの恐れがあるため訴訟は断念。B社はまもなく破産の準備を始め、売掛金の回収はできませんでした。A社の営業担当者はB社が新会社に財産を移転すると聞いていたと知り、その時点で相談いただければ回収不能を回避する手立てはいくつもあったのにと悔やまれる結果になりました。

弁護士からのコメント

支払いの遅延が起きたらすぐにご相談ください

今回のケースはご相談いただいたタイミングが遅く、経費倒れになることから訴訟もできず、弁護士が力になれなかった案件です。担当者の方がB社から新会社への財産の移転を知った段階でご相談いただいていれば、仮処分などして差止めすることができました。また、遅延が発生した早い時点でご相談いただいていれば、支払方法を変更したり、自己振出手形を回り手形にするなど条件変更の交渉を行うなど、回収不能を回避するための助言を行うこともできました。売掛金を回収するためには、早め早めのご相談が大切です。トラブルに発展してしまう前に、おかしいと思ったら弁護士にご相談ください。

まとめ

売掛金の回収は、回収できる見込みの金額と訴訟費用が釣り合わず断念せざるを得ない場合が多々あります。そのため、訴訟以外の選択肢が残されている段階で、取引先企業についてしっかりとした調査し、契約変更を行うなどの対策を取ることが大切です。取引先への不安はもちろんのこと、企業活動を行うなかで不安を感じた際にすぐに相談できる相手として、企業法務に強い弁護士を活用するのもおすすめです。

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