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企業法務・売掛金回収

今まで問題もなく円満な取引相手だった個人事業主Bさんが突然入院し、そのまま亡くなってしまいました。それなりの売掛金があり、できれば回収したいと困っています。

相談者
年代:A社

ご相談の経緯

取引先の個人事業主が未払いのまま死亡

A社と取引していたBさんは個人で仲介業を営んでいました。それまでは特に問題もなく、本人もいたって健康そうでしたが、ある日突然重い病気にかかり入院してしまいました。売掛金を回収できないままBさんは故人になってしまい、困ったA社は弁護士に相談することにしました。

ご相談のポイント

売掛金は相続人に請求できる

個人事業主が死亡した場合、売掛金は債権として相続人に引き継がれます。商店などの場合は相続人の一人が家業を引き継ぐことが多く、その相続人に請求することができますが、今回のような仲介業者では相続人調査を行う必要が出てきます。具体的には、故人の戸籍謄本を取り寄せて相続人の可能性のある人物を調べ、その一人ひとりの相続分に応じて請求していかなくてはなりません。他人の遺産相続を調査するのは容易ではなく、弁護士に依頼した場合は調査費用も掛かります。また、相続放棄をされていたり、相続人がいなかったりする場合は破産手続きと同様に遺産から配当を受けることになります。また、取引先が債務超過の場合は回収できないこともあります。

たちばな総合法律事務所に依頼された結果

売掛金回収をあきらめ、今後の対策を強化

亡くなった個人事業主の相続人調査を行う労力や費用と売掛金を照らし合わせ、相続放棄されていた場合のリスクを考えると、回収は諦めた方がいいという結果になりました。今回のケースのように個人事業主は法人とは違い、資金繰りがどれだけ安定していてもある日突然支払い不能になる恐れがあります。依頼主には今後このようなことが起きないよう、個人事業主と取引する場合は法人と同じ契約形式ではなく、こまめに売掛金を設定したり、前金制やエスクロー方式を採用するなどしてリスクヘッジを行うようアドバイスしました。

弁護士からのコメント

継続的な与信管理でトラブルに備えましょう

個人事業主と法人の決定的な違いは、法人には寿命はありませんが、個人は突然病気になったり最悪死亡してしまうこともあり得るということです。今回のケースのように、順風満帆でも突然支払い不能に陥ってしまうこともあります。法人成りしている個人も、実店舗があれば法人名義の不動産などがある可能性がありますが、基本的には同じです。契約の段階から、何ヶ月も先の売掛金を設定しない、保証人を立てる、エスクロー方式を採用するなど、いざというときのために保険をかけておくことが大切です。損失を最小限に食い止めるためにも継続的な与信管理を心掛けてください。

まとめ

売掛金の回収のご相談のほとんどが「相手と連絡が取れない」「事務所に行ったら張り紙が貼ってあった」「破産手続きに入ったと聞かされた」と、既に回収がむずかしくなってしまってからのタイミングです。弁護士へのご相談が早ければ早いほど回収の見込みが高くなります。企業間トラブルをはじめ、事業活動を行ううえでの法的な疑問や不安をいつでも相談して払拭できる弁護士との顧問契約もおすすめです。

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