不当利得返還請求
父が亡くなり、残された公正証書遺言には父の事業を継ぐ兄が、多くの財産を受け取ることになっています。明らかに兄が優遇されていることに不満があるのですが、どうにかできませんか?
- 相談者
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年代:50代性別:男性
事業をしていた父が亡くなり、公正証書遺言を残していました。相続人は次男のYさんの他には長男と4人の姉がおり、遺言の中には遺産分割について詳細に書かれていました。父の会社は長男が引き継ぐことになっており、そのせいか兄ばかりに財産が集中していました。Yさんは不満を覚え、どうにかできないものかと当事務所に相談に来られました。
公証役場で公証人が作成した公正証書遺言を無効にするのは簡単なことではありません。遺言作成時に被相続人は認知症などを患い遺言作成能力がなかった、遺言作成時に詐欺や脅迫があった、公正証書を作成する際の証人が要件を満たしていなかったなどを証明できる証拠が必要です。今回のケースでも、生前、お父様に認知症の疑いがあったとのことですが、立証できるだけの証拠は見つからず、無効の主張はできませんでした。
遺言が有効である以上、遺言の内容に沿って遺産を分割することになります。しかし、遺言書の内容よりも遺留分の方が多い場合は遺留分侵害額請求をすることで、その差額を受け取ることができます。
Yさんの遺留分の価額は、他の相続人に不正出金や特別受益がある場合には相当金額を相続財産に加算して計算することになるので遺留分も増えます。そこでお父様の生前の財産を調査したところ、長男によるものと思われる不正出金が見つかりました。しかし、Yさん自身にもお父様が亡くなる10年以内の生前贈与と認定されそうな銀行間送金の形跡もあり、裁判は難航。最終的には裁判外で交渉することなり、長男がYさんに解決金として400万円を支払うこと、長男が引き継ぐ会社のYさんが所有する株式を長男に売却することで和解となりました。
訴訟では主張するに足る証拠が重要
このケースはお父様が外国籍だったこともあり、相続人調査も苦労しました。お父様が認知症だっかどうかについては証拠が思うように揃わず立証に難航し、また、お兄さんの不正出金については立証できたものの依頼者ご自身への銀行間送金の履歴がありましたが、裁判所からの和解勧告もあって双方納得できる落とし所を見つけることができました。依頼者の利益を守ることができたので良かったです。