預金などの債権の遺贈(受贈)の注意点
1 預金口座(債権)の遺贈でよく問題となる点
遺言が見つかり、その遺言で、相続人でない方が預金口座の遺贈を受ける場合があります。 遺贈を受けた受贈側の代理人となって、いざ預金の払い戻しをしようとしても、この場合には銀行などの金融機関に断られる可能性が高いです。どうしてかというと、払戻し側の銀行は、譲渡した者(遺言者の相続人又は遺言執行者)からの通知がないと支払わなくもよいとされているからです(民法467条)。
2 対処方法
そうすると、遺言に遺言執行者が指名されている場合には、その遺言執行者から銀行に対し債権譲渡通知を出すようお願いすることになります。 しかしながら、遺言執行者がいない場合には、受贈者側としては①遺言執行者の選任の申し立てをするか、②相続人のうちの誰かを探し出してきて、譲渡通知を銀行に出してもらうようお願いしなければなりません。①は、遺言執行者の報酬について予納を求められる可能性があり、②は、譲渡通知を了承する相続人を探し出すことができるかかが問題となります。 ①と②のいずれを取るかは、諸般の事情を考慮して決定する必要があります。 当事務所が取り扱った事例では、相続人の一人から債権譲渡通知の代理権を授与してもらい、銀行に通知した事例があります(債権譲渡通知は、観念の通知なので利益相反とはならないと思われるほか、収益行為や処分行為でも無いため相続人の一人のみの授権で足りると解し、それで払い戻しができた事例があります)。
3 遺言を作成する場合には条項の文言に注意が必要
遺言条項を作成する場合には、遺言執行者を置いておくのが無難ですし、遺言執行者を置かない場合には表現に工夫が必要となります。 当事務所も、遺言条項作成の際には、上記の点などに注意して作成しています。
4 お困りの場合には
預金を遺贈してもらったが、銀行から譲渡通知が必要と言われておお困りの場合には、是非たちばな総合法律事務所へご相談ください(初回30分無料)。法務面と税務面の両面から助言いたします。
ご相談のご予約は、https://law-tachibana.sakura.ne.jp/law-tachibana.jp/contact/ 又は06-6467-8775にお電話いただいてご予約いただき、お気軽にご相談ください。
関連情報
関連する取扱分野
事業承継・相続の記事
- 2017.6.29
- 遺留分減殺請求の解決事例①(裁判前に和解)
- 2017.6.21
- 消滅時効の主張と相続放棄の解決事例
- 2017.6.19
- 逝去から3年経過後の相続放棄が認められた事例
- 2016.7.4
- 相続税のお尋ねを契機とした依頼
- 2016.6.29
- 遺産分割協議・相続税申告のワンストップ対応