賃貸マンションが未分割の間に発生する賃料を共有者から回収する事例
1 事案の概要
相続財産に賃貸マンションがあり、賃料が発生し続けることは珍しくありません。早期に遺産分割ができて、上記賃料の分配についても合意できれば良いですが、遺産分割に時間がかかり、賃料を特定の相続人が独占的に受領し続ける例は、多いです。 その場合には、被相続人が死亡した後に発生し続ける賃料について相続分に応じた分配を請求することになります。 請求側としては、賃料の金額はいくらなのか、さらには更新料などが発生しているのかを知りたいところですが、多くの場合は、特定の相続人が管理又は独占しており、依頼当初はわからないことが多いです。
2 解決までの流れ
まずは、賃料の額などを明らかにする必要がありますので、特定の相続人に照会し、それで回答が得られない場合には、①被相続人名義の口座に入金されている場合には金融機関から入出金履歴を取り寄せたり、②現金払いなどの場合には賃借人に対して照会文書を送り賃貸借契約書の写しなどの提出を依頼したり等します。回答が得られない場合には裁判手続きの中の文書送付嘱託などにより明らかにしていくことになります。 また、賃貸マンションにも、経費、具体的には固定資産税、損害保険料などが発生しますので、請求側は、上記の経費も特定の相続人に照会を求めることになります(裁判となった場合に訴状に貼る印紙を安く抑える効果があります)。回答が得られない場合には、裁判手続で求釈明などを行い確認していきます。 このように、裁判前にまたは裁判の中で、収入と支出に関する証拠を収集して、賃料を独占的に管理している特定の相続人に請求・回収していくことになります。
3 賃料分配の裁判と税務申告との差異に注意
相続人間で賃料の請求をする場合には、賃借人が実際に支払った賃料のみが分割(分配)の対象となりますが、税務申告の場面では、実現主義により、賃料が現実には回収できていない場合であっても、契約書上発生している賃料(から経費を差し引いた金額)に相続分を乗じた金額を不動産所得として所得税の申告をする必要があります。 そのため、裁判が長引くと、実際に賃料は受け取っていない、又は特定の相続人から回収していないのに、税金は支払わなければならない例がありますので、資金繰りの注意が必要です。
4 賃料を独り占めされてお困りの場合には
相続財産の賃貸物件の賃料収入の分配がない、特定の相続人が独り占めしていることなどでお困りの場合には、是非たちばな総合法律事務所へご相談ください(初回30分無料)。法務面と税務面の両面から助言いたします。
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