遺言の執行に伴う相続税申告
1 事案の概要
平成27年の相続税法改正で、基礎控除が減少した結果、以前は相続税が発生しなかった事案でも、相続税が発生する例が非常に多くなりました。 相続人や他の弁護士が遺言執行者として遺産の換価をしていたところ、予想以上に遺産が多く、相続税の基礎控除を超えることがわかり、当事務所に申告を依頼される例が多いです。 例えば、法定相続人が2人、遺産が4500万円ほどの事案では、相続税法の改正前であれば基礎控除額が7000万円となり申告する必要がなかったのですが、改正後の基礎控除額は4200万円で申告が必要となりました。
2 解決までの流れ
遺産の範囲については、例えば、死亡保険金は遺産に含まれないが、相続税法上は対象となる、葬儀費用については遺産に含まれないが、相続税法上は債務控除の対象となるなど、微妙な差異があります。また、相続税の申告では、名義預金(被相続人が原資を出し印鑑を管理するなど被相続人の実質的な財産であるものの、名義上は相続人など別人の財産)の検討を欠かすことができません。 そのため、遺言執行者が収集した資料に加えて、新たに資料を収集するなどして、申告書の作成を行うことになります。申告期限を迫っている事例では、かなり急いで行う必要があります。 また、相続人や受遺者全員と面談して、相続財産の漏れがないかを確認して、申告書を作成・提出しました。
3 税理士法33条の2の添付書面(税務調査の対象となる確率が減少する)
相続税の申告書を提出する際に、相続人・受遺者間に利害対立が生じない場合には、税理士法33条の2の添付書面を提出することになります。 税理士法33条の2の添付書面は、財産の帰属や評価方法などについて税理士の見解を書いた書面で、統計上、税務調査の対象となる確率が減少するほか、調査する場合もまずは税理士に不明点などについて税務署から連絡が来ますので防御しやすいと言えます。 また、税理士法33条の2の添付書面は、財産の帰属などについては証拠評価・事実認定という思考過程を記載しますので、税務に詳しい弁護士であれば税務調査や裁判を見据えつつ作成することができます。当事務所では、裁判書面(主張書面)を作成するのと同じプロセスで作成することで、依頼者である相続人や受遺者の利益に貢献してます。
4 お困りの場合には
相続税申告でお困りの場合には、是非たちばな総合法律事務所へご相談ください(初回30分無料)。法務面と税務面の両面から助言いたします。
ご相談のご予約は、https://law-tachibana.sakura.ne.jp/law-tachibana.jp/contact/ 又は06-6467-8775にお電話いただいてご予約いただき、お気軽にご相談ください。
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