このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)
大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995
相続税には、配偶者税額軽減の制度があり、簡単に言うと法定相続分又は1億6000万円までの相続財産について、配偶者の税額を非課税とする制度です。
上記の軽減制度を目いっぱい使用すると、第一次相続の税負担は軽くなります。そのため、配偶者税額軽減を限度額いっぱい使用する例はよく見られます。
もっとも、残された配偶者が亡くなった時の第二次相続の相続税は、累進税率の関係から重くなることがあり、第一次相続と第二次相続のトータルの税負担が重くなってしまうことがあります。
他方で、第一次相続と第二次相続の全体の税負担を軽くすることのみを考えて、遺産分割をすると、配偶者が取得する財産(売却しにくい不動産など)によっては、生活に困ることもあり得ます。
結局、遺産分割協議の際には、税負担、配偶者の余生と必要な生活費と意向、ほかの相続人の意向などの多くの変数を考慮しますが、配偶者税額軽減も、遺産分割協議の際の変数のうちの一つにとどまるという点を意識しておく必要があります。