遺産分割の土地管轄

2016.2.17

1 遺産分割「調停」の土地管轄

 遺産分割「調停」申立の土地管轄、つまり、どの家庭裁判所に遺産分割調停申立書を提出するかについては、原則として相手方の住所地を管轄する家庭裁判所となります。この管轄の規定は、調停を起こされる側の裁判所への出頭の負担を考慮したためと言われています。
ただ、例えば、相続人4人のうち3人が大阪に居住して共同して遺産分割調停を申し立てようとする場合、残りの1人が遠隔地に居住していると、申立人側としては、調停に出頭するのにかなりの負担となります。
なお、遺産分割の調停手続で、相続人全員の合意が得られない場合には、審判手続に移行することになります。

2 遺産分割「審判」の土地管轄

 他方、遺産分割「審判」申立の土地管轄、つまり、どの家庭裁判所に遺産分割審判申立書を提出するかについては、原則として被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所となります。これは、遺産関係の証拠が存する可能性が高いことによります。
そして、いきなり遺産分割審判を申し立てしても、家裁の判事の判断で調停手続きに回されることが多いです。

3 いきなり遺産分割「審判」を申し立てる場合も

 そのため、遺産分割調停では、遠隔地の家庭裁判所に申立てしなければならない場合で、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所の方が近い場合には、弁護士の交通費や日当に関する依頼者のご負担などを考慮して、遺産分割審判を申し立てる場合があります。
2項で解説した通り、審判を申し立てても、調停に回付されることが多いので結果的に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で調停手続きを進めることができます。

このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)

大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995

事業承継・相続 に関する解決事例

  • 橘高和芳弁護士が担当した遺産相続に関する事例が
「金融・商事判例 No.1553号」(2018年11月15日号)
に掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
週刊ダイヤモンド「相続&事業承継(決定版)」(2018年12月号)
に掲載されました
  • 相続問題事例
  • 遺産相続・遺言書に役立つ書式集
  • 遺産相続トラブル解決チャート
  • 2016年10月 日経MOOK「相続・事業承継プロフェッショナル名鑑」のP84に「羽賀・たちばな会計事務所」が、P134に「たちばな総合法律事務所」が掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
「フジサンケイビジネスアイ」
に掲載されました
(2015年11月2日(月)27面)
  • 旬刊「経理情報」2016年4月20日号(NO.1444)に「D&O保険の保険料にかかる税務ポイント」を寄稿いたしました。