このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)
大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995
平成28年1月24日の日経新聞の記事によると、総務省と国税庁とが、マンションの評価額を見直す検討に入ったようです。
あくまで検討に入ったというものですので、実際にどのような評価額の変更にあるかはまだ不透明なところがありますが、早ければ平成30年からの施行を目指すとのことです。
マンションの評価額は、現行の財産評価基本通達では、建物部分の固定資産税額+土地の路線価に基づく評価額×区分所有建物の持ち分割合で計算されます。
上記の計算式からも明らかなように、高層階も低層階も区別しておらず、高層階は実際には眺望の良さなどから取引価額が高く、通達の評価額とかい離がありました。このかい離をついたのが、いわゆるタワーマンション節税と呼ばれるものです。
平成27年11月10日のコラム(https://www.law-tachibana.jp/column/shoukei/65/)でも書きましたが、相続税法の財産評価は時価を原則としていますので、財産評価基本通達を基に節税しても、上位法規である相続税法の時価評価原則を適用されたら、納税者としては文句を言いにくく、その意味でタワマン節税は、節税策としては危ういものでした(単純に購入する以外にも、購入したタワマンを会社に現物出資するなどの方法もありますが、時価評価という点では同じ問題があります)。
また、総務省が、固定資産評価額を見直すということですので、タワーマンションを投資用として既に購入された方には、固定資産税の増加による利回り低下が見込まれます。その意味で、所有し続けるか、手放すかの判断を早晩迫られる可能性があると思われます。