「遺言書を今すぐ書かない三大理由」は正しいか?

2015.11.24

1 「遺言書を今すぐ書かない三大理由」とは?

 相続税の増税もあり、遺言を書くべきかについて、相談をよく受けます。その相談の中で、遺言の作成を先延ばしにされる方が多くいらっしゃいます。
先延ばしの理由としては、いろいろお話を聞いていくと、①死ぬことを前提に考えること自体が不愉快又は縁起でもないというものと、②同族株式の評価を含めて相続財産や後継者が流動的で、死期が迫らないと最適な遺言が作れない、③遺言を書く代わりに自分の介護をきちんとしてほしいから今はあえて遺言を作成しないという3つに集約されるように思われます。
これが理由として当を得ているか考えてみたいと思います。

2 ①「死ぬことを前提に考えること自体が不愉快又は縁起でもない」について

 確かに、死ぬことを前提に考えることは、あまり気持ちがいいものではありませんし、お気持ちはごもっともです。
しかし、平均寿命がどんどん延び、長生きとともに認知症に係る確率も高くなっていきまし、また、将来の万一の事態を予測することはできません。元気な時にしか、自分の生きてきた道を振り返り、自分の思いを遺言書に表現することはできませんので、思い立ったが吉日ではないですが、遺言書を作成しようと思った時に作成したほうが良いでしょう。
また、「死ぬことを考えるのは気分が良くない」と感じることは認知機能が衰えていない証拠といえますので、むしろ「死ぬことを考えたくない」と感じるのは遺言を書くのに適した時期といえます。

3 ②「相続財産や後継者が流動的で死期が迫らないと最適な遺言が作れない」について

 確かに、遺言書を書いても、人生は続きますので、同族会社の株式の評価額、所有不動産の流行り廃りや価額の変動などに見舞われます。さらには、一度は家業を継がせようと思った子供が、経営者として向いていないとか、仲が悪くなったということはあります。あるいは、将来に生まれる孫にいくらか残したいというお気持ちもよくわかります。
しかし、上記の懸念については、遺言書は、将来の変動に柔軟に対応できるので、「流動的だからこそ、自由に撤回できる遺言書を作るべき」と考えるのが良いと思います。遺言に並ぶ選択肢である信託契約は、生前から柔軟に財産分配を可能とし、財産管理をする受託者を決定できるというメリットがありますが、他方で契約書を作りこんでおかないと自由に解除できない可能性があるデメリットがあります(なお、事案により生前贈与や信託契約をお勧めする場合も当然あります。)。
遺言書は、撤回が自由で何度でも書き直すことが可能という特長がありますので、「書いて終わり」というのは、非常にもったいない選択といえ、「遺言は、自分の思いを継いでくれるのは誰が適当かを定期的に見直す良いきっかけとなる」と前向きに捉えるのが良いと思われます。
弊職は、遺言作成の依頼を受けた際に、5年間隔くらいで遺言のメンテナンスをしたほうが良いと助言し、お孫さんの誕生、財産の分配の見直し、後継者の変更などに対応しています。

4 ③「遺言を書く代わりに自分の介護をきちんとしてほしいので、あえて遺言を今は作成しない」について

 確かに、老境になると体が不自由となって、子供夫婦の世話を受ける必要が出てきます。かといって、子供に生前贈与して財産がなくなったら、子供が寄り付かなくなったということも仄聞するところで、自分の世話を見てもらうために自分の財産を「人質」にする気持ちもよくわかります。
しかし、遺言書は、何度も自由に書き直すことができるのが最大の特長です。むしろ、遺言を何度も書き直した方が、イニシアティブが誰にあるかが明確にあると思われますので、③の理由も、遺言書を作成しない理由というより、遺言書を作成するべき理由といえます。
ただし、何度も遺言書を書き直すということは、遺言そのものの有効性や遺言条項の優劣関係などの紛争を引き起こしますので、やはり5年おきの見直しにとどめるほか、弁護士や税理士などの専門家の助言を受けたほうが良いでしょう。

5 お困りの場合には

遺言書を書きたいものの、どう書いたら良いかわからない、親に遺言書を書いてほしいが、どう切り出したらよいかわからないなど遺言書作成でお困りであれば、たちばな総合法律事務所へご相談ください(初回30分無料)。
ご相談のご予約は、https://law-tachibana.sakura.ne.jp/law-tachibana.jp/contact/ 又は06-6770-7212にお電話いただいてご予約いただき、お気軽にご相談ください。

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事業承継・相続 に関する解決事例

  • 橘高和芳弁護士が担当した遺産相続に関する事例が
「金融・商事判例 No.1553号」(2018年11月15日号)
に掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
週刊ダイヤモンド「相続&事業承継(決定版)」(2018年12月号)
に掲載されました
  • 相続問題事例
  • 遺産相続・遺言書に役立つ書式集
  • 遺産相続トラブル解決チャート
  • 2016年10月 日経MOOK「相続・事業承継プロフェッショナル名鑑」のP84に「羽賀・たちばな会計事務所」が、P134に「たちばな総合法律事務所」が掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
「フジサンケイビジネスアイ」
に掲載されました
(2015年11月2日(月)27面)
  • 旬刊「経理情報」2016年4月20日号(NO.1444)に「D&O保険の保険料にかかる税務ポイント」を寄稿いたしました。