このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)
大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995
遺言などを残すべき場合は、言い換えると、遺産分割協議の際に揉める可能性が高いケースということになります。
子供への生前贈与額にかなりの差があると、遺産分割でもめることが多いです。例えば、「姉には結婚資金でまとまったお金を渡したのに、私にはくれなかった」とか、「医学部に進学した兄には莫大な学費を払っていたのに、自分には全くなかった」などのケースです。また、遺言書に生前の贈与に関する記載がなかったため紛争になるケースもあります。
生前の贈与は、「特別受益」として、遺産に加算して分割協議することになりますが、贈与の有無や金額を巡ってシビアな争いとなります。
しかも、相続税と異なり、加算する生前の贈与は、3年という縛りはなく、立証ができれば何十年前の贈与も対象となります。
生前の贈与(特別受益)がある場合には、遺言で持戻し免除の意思表示に係る条項を置いておくと、特別受益の加算はなく、相続開始時点での相続財産のみが遺産分割の対象となります。
したがって、子供への生前贈与額に差がある場合には、遺言書を作成して、持戻し免除の意思表示に係る条項を置くことをお勧めします。