このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)
大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995
亡くなられた方が借金があり、相続人が相続放棄を検討しているものの、ひょっとすると時効消滅しているかもしれないという事例はよくあります。
この場合、まず消滅時効の援用をしつつ、債務の承認などがあったので借金が時効消滅していないことが分かったので、相続放棄することはできるかということがよく問題となります。
しかし、消滅時効の援用は、一旦、債務が自分のものあることを前提にして行うものですので、相続放棄とは相いれません。
そのため、順番として、消滅時効の援用→相続放棄はできないことになります。
そのため、時効消滅している可能性があるものの、実際に時効消滅しているかわからない場合には、①家庭裁判所にまずは熟慮期間の伸長の申立てをしたうえで、②債権者から取引履歴を発行してもらい、消滅時効期間を経過しているか、債務承認(弁済)がないかを確認した上で、③債務が残っている場合には相続放棄手続、時効消滅していると判断できる場合には消滅時効援用の意思表示を債権者に送付するという順番になります。