相続トラブルで多い「遺言書の無効を争う方法」を徹底解説

2024.3.18

1.遺言書の無効で争いになるケース

遺言の有効性をめぐって相続人間で争いになるきっかけとして、①生前に前哨戦としての親の身柄の奪い合いがあったり、②遺言書にご自身の相続分の記載が無かったり(相続分なし)、または、③相手相続人に有利な内容の遺言であったことで、対立が表面化することがあります。

また、「生前の親が、そのような遺言を残すはずがない」という相続人間の疑心暗鬼から、認知症や判断能力低下時に無理やり作成させられたのではないか、詐欺・脅迫、偽造・変造などについて相手相続人の生活・態度を見るにそうした行為が疑われることなどが火種となって、遺言書やその内容を争い相続トラブルになることがあります。

2.遺言書が無効となる場合

法律が要求する形式的な条件を満たしていないことを指摘、主張して遺言無効を争うことになります。
どのような点があるかを次にご紹介します。

2-1.(共通)遺言内容が不明瞭・不明確

例えば、遺言者に所有不動産が複数ある場合に、誰にどの不動産を相続させるのかなど具体的な指定がないなど内容が不明確である場合や、遺言書かどうかわからないメモ、例えば「きょうだい仲良くしてほしい」とか、「子Aには世話になって感謝している」とか、財産の分配について記載がないような内容である場合などには、遺言事項の記載がないとして遺言書として無効になる可能性があります。

2-2.(共通)署名・押印が無い

必ずしも市区町村役所で登録されている実印で押印されている必要はありませんが、認印や拇印など捺印されていることが必要です。

2-3.(共通)訂正方法の誤り

自筆証書遺言において法律上の訂正方法の指定があります(民法968条 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。)

修正テープの使用した場合や単にボールペンに塗りつぶした場合、その他民法968条に反する内容で加入・削除の訂正がされた場合には、遺言書自体が無効と判断される可能性があります。十分に気を付けて訂正をおこなうようにしましょう。

なお、遺言書は遺言者の最後の意思表示でありなるべく有効になるように解釈しようというのが裁判例の大勢であるため、法に定めた訂正方法ではないから直ちに遺言が無効となるわけではなく、後述の5-1の判断要素を加味しつつ、遺言書から遺言者の真意が認定できる場合には有効と判断されます。

参照|民法 第968条(自筆証書遺言)

自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

2 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第997条第1項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。

3 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ,その効力を生じない

 

2-4.(共通)共同で遺言書を作成

参照|第975条(共同遺言の禁止)
遺言は、2人以上の者が同一の証書ですることができない。

 

1つの遺言書に共同で2名以上で作成することを民法上禁止されています。
夫婦で作成する場合には、別々の遺言書でそれぞれ単独で作成する必要があります。

これは遺言者が2名いると法律関係が複雑となり、自由に遺言を撤回することが難しくなるため禁止されているものです。

2-5.(共通)遺言能力がなかった

参照|遺言能力に関する民法の条文
第961条 15歳に達した者は、遺言をすることができる。
第963条 遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない。

 

遺言能力は、1)15歳以上であること、2)事理弁識能力があることが必要です。

但し、認知症でも様々で、常時事理弁識能力がない場合と一時的に事理弁識能力を回復する場合があります。

また、認知症の程度も、物忘れが少しある程度から、家族の顔がわからないとか、その日に着る服も選べないとか、その程度には軽重があります。
そのため「認知症=遺言能力がない」ということではなく、認知症の重度ぐあいの見極めが重要となります。

遺言能力(事理弁識能力)の程度については、民法の講義で、小学生高学年程度の能力ともいわれており、これも一つの目安となります(あくまで目安です)。

遺言が有効だと主張されるご家族からは、家族の顔がわかっていたなどと説明いただくことがありますが、低学年の小学生でも家族の顔の判別は可能ですので、家族の顔の判別ができたというエピソードだけでは遺言能力の見極めはできません。

このように、小学生の低学年でも可能な行為か、会話内容かで、遺言書作成当時の遺言能力の程度を推測していくことになります。

また、「常時」事理弁識能力がない場合として、判断能力低下時に財産管理や療養看護(入院や介護施設への入所手配や介護サービスの手配)のサポートを受けるための成年後見制度を利用されているケースがあります。

事理弁識能力(≒判断能力)の低下の状態に応じて、後見、保佐、補助に分かれていて、判断能力の程度が一番重い「後見」は、「常時事理弁識能力を欠く状態」にある方が利用できる手続きです。

常時、事理弁識能力がないため成年被後見人は遺言能力がなく、一切遺言を作成できないように思われますが、医師2名が立ち合い、一時的に事理弁識能力が回復し遺言作成時に判断能力があることを証明すれば有効に遺言書を作成することができるとされています(民法973条)。

そのため、認知症だからといって直ちに無効となるわけではなく、作成当時に判断力、理解力などの事理弁識能力や心身の状況がどうであったかなど個別具体的に遺言の有効性を判断することになります(判断要素は、後述の5-1ご参照)。

2-6.(共通)錯誤・詐欺・脅迫

遺言者を騙して、あるいは脅して作成した場合や、勘違いにより作成した遺言書は取り消すことができます。

ただし、遺言作成当時の状況の立証は、動画などがないと極めて困難です。

2-7.(共通)偽造・変造

被相続人以外の人による遺言書の偽造変造は、刑事事件としては「有印私文書偽造罪(刑法159条1項)」「有印私文書変造罪(刑法159条2項)」にあたり、刑事罰を受ける可能性があります。

また民事上において、相続人または推定相続人(被相続人の死亡により相続人となる予定の人)が、遺言書の偽造、変造、破棄、隠匿(隠す)などの行為をしたときは、相続人の欠格事由にあたり、相続人になることができなくなります(民法891条)。

なお、相続欠格に該当するときも、代襲相続が認められるため、相続人が遺言書を隠しても、相続人の子が代襲相続人として相続します。

2-8.(共通)公序良俗に反する内容

会社の経営者などに多い相続トラブルの一つに、愛人への遺贈(遺言書による贈与)があります。

配偶者以外との性交または性交類似行為をおこなうことを法律上「不貞行為」と言いますが、これは不法行為に当たります。そのため、不貞の相手に対する贈与は基本的に無効です。

ただ、この場合も不貞の相手に対する遺贈の内容が、他の相続人の権利を侵害せず、愛人がもっぱら生計を助けるためのものであれば、不貞の相手方に対する遺贈も有効であると判断された裁判例(最高裁昭和61年11月20日判決)もあります。

2-9.(自筆証書遺言)自書されていない

自筆証書遺言は、財産目録以外の記載について、自筆(手書き)で記載する必要があります。
民法改正により2019年1月13日以降に作成する自筆証書遺言において、それまで全文が自書である必要のあった自筆証書遺言ですが、財産目録の部分はワープロ等による作成でも良くなり、要件が緩和されました。

2-10.(自筆証書遺言)日付の記載がない

遺言書が複数作成されている場合、作成日付の新しい遺言書が有効になります。
後に作成された遺言書と前の遺言書で抵触する内容は、前に作成した内容のものを撤回したものとみなされます。

自筆証書遺言では、遺言書の作成日付が必要です。
日付が分からない場合、こうした点について判断することができません。
日付の記載がない遺言書は無効となります。

なお、遺言書の内容等から、作成の日付が特定できる場合には有効と判断されることもあります。
例えば、「令和6年5月末日」「遺言者の65歳の誕生日」「2024年憲法記念日」などです。他方で、「令和6年5月吉日」では、5/1から5/31のいずれの日の作成か不明ですので無効となります。

2-11.(秘密証書遺言)遺言書と封筒の封印の印影が異なる

秘密証書遺言とは、遺言内容を秘密にしながら、公証人の関与を経て作成する遺言です。

公証人が日付と遺言者の申述(自分の遺言書であること、氏名、住所)を封紙に記載して、遺言者、証人、公証人が署名、押印して作成します。

この際、遺言書に捺印した印鑑で封印しなければなりません。

遺言書と封印の印影が異なっている場合には、無効となります。
但し、封筒の中に入れた遺言書が自筆証書遺言としての要件を満たしている場合には、自筆証書遺言として有効になります。

参照|民法 第970条(秘密証書遺言)

秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。
二 遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。
三 遺言者が、公証人1人及び証人2人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
四 公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。
2 第968条第3項の規定は、秘密証書による遺言について準用する。

 

2-12.(公正証書)証人になれない人の立会い

公証人が作成する公正証書は、法的に無効となることはほぼありません。
それは元裁判官や元検察官といった法律の専門家である公証人が作成するためで、信頼性の高い遺言書であるとの建前によります。

あくまで公正証書遺言が法的に無効となる場合として、法律(民法969条)に定められている方式に反した内容で作成されたケースが挙げられます。

公正証書作成にあたって、①証人2名以上の立会いがあること、②遺言者と証人が署名、押印していることなどが条件ですが、これらが守られていない場合には公正証書遺言が無効になる可能性があります。

参照|民法 第969条(公正証書遺言)

公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 証人2人以上の立会いがあること。
二 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
三 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
四 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
五 公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。

 

なお、次の方は遺言書の証人になることはできません。

【遺言書の証人になれない人】
・未成年者
・遺言者の推定相続人や配偶者および直系血族
・遺言の受遺者(財産を取得する人)とその配偶者および直系血族
・公証役場の職員、公証人の配偶者および四親等内の親族

 

3.遺言書が無効とならない場合

遺言書の有効性について相談を受ける中で、次のような質問を受けることがあります。

3-1.検認を受けていない(無断で開封)

遺言書の保管者またはこれを発見した相続人が遺言書を発見した時には、家庭裁判所で検認手続きを受けることになっています。
これは法律上の義務となっています。

公証役場で作成・保管されている公正証書遺言や、自筆証書遺言を法務局の保管制度を利用している場合を除いて、検認手続が必要になります。

検認手続は遺言書の有効性を判断する手続きではありません。
遺言書がどのような内容・状態で存在するのかを相続人に対して知らせ、遺言書の状態を裁判官が確認する手続であり、遺言書への追加記入などの偽造・変造を防止するための手続です。
ただ、検認手続を怠った場合には、過料5万円の制裁をうける可能性があるほか、他の相続人からいらぬ疑いを抱かれる場合があります。

なお、自筆証書遺言については、封筒に入れなければならないという決まりはないので、便せんに書いてもらった遺言書を封筒に入れずに保管をしていても問題ありません。亡くなられた方の自宅を探していて、ベッドの下又は枕と枕カバーの間にあってクシャクシャになった遺言書が見つかることがありますが、全文自筆で日付・署名押印という要件を満たしている限り有効な遺言となります。

3-2.認知症でも判断能力が回復している際に作成された場合

認知症であったとしても、一時的に事理弁識能力が回復しており、それを証明する医師の立会いのもとで遺言書を作成している場合には、有効とされる可能性があります。

認知症だからといって、必ず無効になるわけではありません。

4.遺言無効を主張するための方法

遺言の無効を争う場合には、次の方法があります。

4-1.相手方との話し合い

遺言無効を裁判所の調停手続きや訴訟で争うと、解決に時間を要します。
また、月1回程度の裁判所への出廷や、裁判書類の作成・提出など事務手続きや費用面での負担も大きくなります。

遺言書がある場合、原則として遺言内容が優先されます。
ただ、相続人全員の合意があれば、遺言書の内容と異なる遺産分割可能です。

なお、遺言で資産負債の別なく包括的に遺産を譲り受けた人を「包括受遺者(ほうかつじゅいしゃ)」と言います。
包括受遺者は相続人と同じ権利や義務があり、遺産分割協議に参加することになります。

遺言により相続した相続人や包括受遺者と話し合いをおこない、改めて相続人全員で遺産分割できないか交渉をおこないます。

ただ、相手が交渉に応じず、話し合いによる解決が困難な場合は、裁判所の手続きによる解決を検討します。
弁護士の経験としては、遺言がある中で、遺言が無効又は遺言の内容を度外視した協議をすることは稀です。

4-2.遺言無効確認訴訟の提起

話し合いによる解決が難しい場合、遺言無効確認訴訟の提起をおこなうことが一般的です。

なお、遺産分割にかかる調停手続は、訴訟(裁判)の前に調停手続きを取ることになっています(調停前置主義)。
ただ、遺言書の有効・無効の判断は、遺産分割の前提条件であるため(遺言書が無効であれば遺産分割、有効であれば遺言書に従った遺産分割)、調停を経ることなく訴訟を提起することができます。

遺言無効を主張する根拠として、遺言書作成当時の判断能力の低下を原因とするものが多く、こうした場合には、入通院していた病院や介護施設などに診療記録(カルテ)・看護記録や介護記録などを取寄せ、要介護認定に関する主治医意見書及び調査員の調査の収集と解読・分析が必要となります。

また、ご家族の遺言者が普段どのような状態にあったのかのご記憶も重要です(日記があれば、第三者の作成書類に匹敵する信用性が認められると言っても過言ではありません。日記は、毎日作成するため、勘違いはともかく記憶違いが混入する可能性が低く、信用性があると判断されます。)。

調査や取得した資料の分析など一般の方には難しい作業が発生しますので、実際には遺言無効の訴訟を提起する場合には弁護士に依頼されるケースがほとんどであると言えます。

裁判で遺言が無効と判断された場合には、相続人全員で遺産分割協議をおこないます。
遺産分割協議により基礎控除を超える相続をすることになった相続人は、相続税申告が必要になります。また、相続分が減り申告が不要になった場合などにおいては税務署に修正申告をおこないます。

5.遺言書無効の争い(訴訟)で注意すべきポイント

遺言無効を争う場合の注意点について解説します。

5-1.遺言能力がないとして無効と判断される要素とは

遺言無効(有効)確認請求訴訟や生前の出金に係る不当利得返還請求訴訟の中で遺言の有効性が争われる裁判の多くは、遺言能力の有無をめぐって争いとなります。

遺言能力の有無については、大きくは①認知症の程度、②遺言の複雑さ・単純さ、③遺言内容の合理性、④遺言者と受遺者との関係性などの各要素を元に総合的に判断されます。

例えば、①認知症が重度だと、②詳細かつ複雑な内容の遺言を作成するのが難しいといえ(A銀行a口座と不動産αは相続人X、A銀行b口座は相続人Y、B銀行のγ口座と不動産βは相続人Zに渡す、相続人Xが遺言者より先に死亡した場合には相続人Xの子X2に相続させるなど詳細な場合)、無効と判断される可能性が高いですが、①認知症が重度でも、同居して世話を見てくれた方に「すべて相続させる」とか、「子供に平等に相続させる」とかという単純な内容の遺言であれば有効と判断される可能性が高くなります。

③遺言内容の合理性や④関係性については、遺言者と仲が悪く、遺言者に寄り付かなった子に対して全部相続させるという内容の遺言の場合には、無効となる可能性高まります(仲直りしたとか、実は仲が良かったとかの主張を裏付ける事実・証拠あるか否かが問題となります)。

他方で、血縁関係がない近所の方でも、よく面倒を見てくれたとして遺産の一部として5百万円を遺贈するという内容の遺言の場合には、有効となる可能性が高まります(血縁関係のない方に「すべて」遺贈するという内容だと、無効となる可能性が高まります)。

なお、遺言が有効か無効かの判断が難しい例としては、お世話になった主治医に遺贈する、入居していた介護施設に寄付するという内容の遺言があります。

このように、遺言が有効か無効かは、一切の事情を考慮した総合的な判断であるうえに、裁判官の家族観や経験則に照らしての判断・推論となるため、裁判官により有効か無効かの判断について微妙な幅がある印象があります。
そのため、提訴段階では、判決の予測が難しいケースが珍しくありません。

まずは、基礎資料、動かない資料として、入通院していた病院や介護施設などに診療記録(カルテ)・看護記録や介護記録などを取寄せ、要介護認定に関する主治医意見書及び調査員の調査の収集を行い、財産状況の変動(遺言書作成前後に銀行口座からの出金額に変化があったかなど)に係る資料など収集できるだけの証拠を収集するのが重要です。

5-2.死亡保険金受取人の変更手続があったかの確認

死亡保険金は、相続財産とは関係がない契約上の給付金ですので、遺言有効・無効とは法的には関係がありません。

しかし、遺言を作成された時期の前後に、死亡保険金の受取人が変更されていたり、生命保険が解約されていたり、保険料一括払いの保険契約が締結されたりなどしていることが非常によくあります。

そのため、保険契約についても、受取人の変更が無いかなどを確認し、遺言無効確認請求訴訟とともに、死亡保険金受取人の変更行為の無効確認請求などを同時に提訴するかも検討する必要があります。

5-3.遺留分侵害額請求の予備的主張

相続において「遺留分(いりゅうぶん)」と呼ばれるものがあります。

遺留分は、亡くなられた親族(被相続人)の兄弟姉妹を除く法定相続人である「配偶者」、「子(直系卑属)」、「親や祖父母(直系尊属)」に認められている「相続の最低保障」です。

遺留分は、相続人が直系尊属のみの場合は「法定相続分の3分の1」、それ以外の場合には「法定相続分の2分の1」となっています。

遺言無効の判決となるか予測が難しいときで、遺留分を侵害する内容の遺言書である場合は、主位的には、遺言無効を主張しつつ、遺言が有効と認められた場合に備えて予備的に遺留分侵害額請求による財産の取得を検討します。
遺留分の侵害に対しては、金銭で賠償を求めることができます。

遺留分侵害額請求には、時効があります。
相続の開始及び遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知った時から1年間請求をおこなわなかった場合には、遺留分の請求権は消滅します。
そのため、遺言無効を争うとともに、遺留分を侵害する内容であった場合には遺言無効と合わせて、遺留分侵害請求の意思表示をおこなっておきましょう。

なお、この遺留分侵害請求の意思表示をおこなうことで金銭債権に変わり、意思表示をしてから5年以内に遺留分侵害請求をしないでいると、この金銭債権は消滅することになります。

遺留分の請求については、生前贈与も対象になることから「どこまで範囲を広げて財産調査をおこなうか」、また財産評価、遺産総額をどのように計算するかなど一般の方には難しい問題です。
また、相続財産の全容を解明しないと具体的な金額として遺留分侵害額を請求できませんが、財産調査についても、遺言者・被相続人を取り込まれて、コミュニケーションが取れない状態であった相続人としては、何があるかわからない状態で調査をしなければならず、どこから着手してよいかもわからず途方に暮れる難易度が高い作業となります。

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遺留分侵害について、弁護士が詳しく説明しています。

 

 

6.まとめ

生前から親の身柄の奪い合いがあったり、兄弟姉妹などの親族による遺産の使い込みが疑われているなど相続トラブルの前哨戦が始まっていたりする場合には、相続発生時に向けて備えておく必要があります。

単に「遺言内容に納得がいかない」だけでは、遺言書の無効を主張することはできません。
遺言書の内容や形式に不備、違法性があることを指摘するなど、個別の事情に応じた対策が必要です。

また、相手が遺言に基づく相続手続きを進め処分をおこなうことで、遺産が散逸してしまうリスクがあるため早めに対応するべきです。

たちばな総合法律事務所は、税理士実務をおこなう弁護士が在籍。
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まずはお気軽にお問い合わせ、ご相談ください。

 

このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)

大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995

遺産相続 に関する解決事例

  • 橘高和芳弁護士が担当した遺産相続に関する事例が
「金融・商事判例 No.1553号」(2018年11月15日号)
に掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
週刊ダイヤモンド「相続&事業承継(決定版)」(2018年12月号)
に掲載されました
  • 相続問題事例
  • 遺産相続・遺言書に役立つ書式集
  • 遺産相続トラブル解決チャート
  • 2016年10月 日経MOOK「相続・事業承継プロフェッショナル名鑑」のP84に「羽賀・たちばな会計事務所」が、P134に「たちばな総合法律事務所」が掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
「フジサンケイビジネスアイ」
に掲載されました
(2015年11月2日(月)27面)
  • 旬刊「経理情報」2016年4月20日号(NO.1444)に「D&O保険の保険料にかかる税務ポイント」を寄稿いたしました。