相続放棄と消滅時効の援用

2017.4.7

1 相続放棄予定の人が消滅時効援用できるか?

 亡くなられた方が借金があり、相続人が相続放棄を検討しているものの、ひょっとすると時効消滅しているかもしれないという事例はよくあります。
この場合、まず消滅時効の援用をしつつ、債務の承認などがあったので借金が時効消滅していないことが分かったので、相続放棄することはできるかということがよく問題となります。

2 消滅時効の援用と相続放棄は両立しない

 しかし、消滅時効の援用は、一旦、債務が自分のものあることを前提にして行うものですので、相続放棄とは相いれません。
そのため、順番として、消滅時効の援用→相続放棄はできないことになります。

3 熟慮期間の伸長申立て→弁済履歴の調査

 そのため、時効消滅している可能性があるものの、実際に時効消滅しているかわからない場合には、①家庭裁判所にまずは熟慮期間の伸長の申立てをしたうえで、②債権者から取引履歴を発行してもらい、消滅時効期間を経過しているか、債務承認(弁済)がないかを確認した上で、③債務が残っている場合には相続放棄手続、時効消滅していると判断できる場合には消滅時効援用の意思表示を債権者に送付するという順番になります。

このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)

大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995

相続手続き・遺産相続執行 に関する解決事例

  • 橘高和芳弁護士が担当した遺産相続に関する事例が
「金融・商事判例 No.1553号」(2018年11月15日号)
に掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
週刊ダイヤモンド「相続&事業承継(決定版)」(2018年12月号)
に掲載されました
  • 相続問題事例
  • 遺産相続・遺言書に役立つ書式集
  • 遺産相続トラブル解決チャート
  • 2016年10月 日経MOOK「相続・事業承継プロフェッショナル名鑑」のP84に「羽賀・たちばな会計事務所」が、P134に「たちばな総合法律事務所」が掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
「フジサンケイビジネスアイ」
に掲載されました
(2015年11月2日(月)27面)
  • 旬刊「経理情報」2016年4月20日号(NO.1444)に「D&O保険の保険料にかかる税務ポイント」を寄稿いたしました。