非上場株式の売買が仮装か否か~相続税の税務調査への対応

2016.5.13

1 非上場株式の売買に関する税務調査

 非上場株式については、会社を支配している株主が、名義を書き換えて相続税対策をしようとする場合があります。
もっとも、形式上、売買契約書が整っていても、相続税の税務調査では、売買の実質・実態が伴っているかについて調査され、実質・実体がないと判断されると、隠ぺい・仮装として重加算税が賦課されることになります。

2 株式売買の実質・実体があるかの判断要素

 非上場株式の売買の実質・実体があるかについては、「この要素があればOK」というものはなく、あらゆる要素からの総合判断となります。逆にいうと、諸要素を充たす証拠をきちんと残しておかないと、税務調査で架空売買、仮装売買ではないかと言うあらぬ疑いをかけられることになりますので、きちんと証拠化しておく必要があります。
そして、その判断要素としては、以下のものがあります。

①売買当事者の関係(親戚・知人同士の場合は疑われる可能性があります)、
②売主の譲渡をする動機(お金が必要であった、引退を考えていたなど)、
③買主の譲受の動機(事業の拡大を意図していたなど)、
④株式の売買目的(組織再編ではなく株式売買の形式をとった理由など)、
⑤株式の引渡し状況、管理状況(株券発行会社の場合には問題となります)、
⑥対価の額、授受の状況(売主が買主に代金相当額を売買に先立って貸し付けている場合には仮装の疑いが生じます)、
⑦取締役会の承認状況(株主構成の変動の可否について議論したことを証拠にしておく必要があります)
⑧株主名簿の異動、株主総会の招集通知の発送、株主総会の議決権の行使状況(買主が株主として行動していたか)

3 お困りの場合には

 非上場会社での株式売買、又は相続税の税務調査などでお困りであれば、たちばな総合法律事務所へご相談ください(初回30分無料)。 ご相談のご予約は、http://law-tachibana.sakura.ne.jp/law-tachibana.jp/contact/ 又は06-6467-8775にお電話いただいてご予約いただき、お気軽にご相談ください。

このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)

大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995

相続手続き・遺産相続執行 に関する解決事例

  • 橘高和芳弁護士が担当した遺産相続に関する事例が
「金融・商事判例 No.1553号」(2018年11月15日号)
に掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
週刊ダイヤモンド「相続&事業承継(決定版)」(2018年12月号)
に掲載されました
  • 相続問題事例
  • 遺産相続・遺言書に役立つ書式集
  • 遺産相続トラブル解決チャート
  • 2016年10月 日経MOOK「相続・事業承継プロフェッショナル名鑑」のP84に「羽賀・たちばな会計事務所」が、P134に「たちばな総合法律事務所」が掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
「フジサンケイビジネスアイ」
に掲載されました
(2015年11月2日(月)27面)
  • 旬刊「経理情報」2016年4月20日号(NO.1444)に「D&O保険の保険料にかかる税務ポイント」を寄稿いたしました。