推計課税と争い方

2016.4.15

1 推計課税とは?

 推計課税とは、おおざっぱな言い方をすると、所得税や法人税で帳簿書類などがない、又は不十分なために所得金額がわからない場合、税務署や国税局が推認した所得金額を以って課税処分することを言います。
帳簿がそもそもない、有っても不十分、又は調査時に提示がなかった(調査拒絶)場合に、推計課税されることになります。例えば、飲食店の場合だと、水道光熱費の額を調査して、同じ税務署管内の同種・同規模の飲食店の水道光熱費と申告所得額の比率から、所得金額を推定するなどします。

2 推計課税で怖いのは・・・

 推計課税の場合、実際の所得金額に対応する税額より高くなる場合もあり得ますし、推計課税をするために青色承認を取り消したうえで推計課税されるので、取消に伴い税額が増える(所得税で青色申告特別控除が認められなくなるなど)と言うダメージもあります。
さらにダメージとして怖いのは、調査拒絶の態様が激しい類型の場合に賦課される重加算税であり、上記類型でさらに怖いのは、課税売上が5000万円超で消費税について仕入税額控除が認められないことでしょう。特に仕入税額控除が認められないということは、本来支払わう必要がない消費税を支払うということですので、資金繰りや資産に非常なダメージを受けることになります。
上記の点で、税務調査に関して敵対的に対応するのは愚策といえます(余談ながら、税理士を付けていない納税者が、怖いもの知らずで税務調査を突っぱねて推計課税処分を受けてしまう例が多い印象があります)。

3 不幸にも推計課税による処分を受けてしまったら

 不幸にも推計課税による処分を受けてしまったら、①推計の必要性がない、つまり帳簿が実はそろっていた、調査拒絶などしていないという点で争うことができないかをまず検討します。次に②推計の方法が正しいか、先ほどの例ですと、同業者の中に都市ガスではなくプロパンガスを使用していた飲食業者が混じっていないかなどを主張することになります(他にも、水道光熱費ではなく箸の仕入本数から推計すべきだなどの争い方はあります)。
もっとも、上記の各点の争い方やそもそも勝てそうかの見通しの判断については、不服審査手続きに通じた弁護士や税理士にお願いしないと、なかなか難しいかもしれません。

このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)

大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995

税務調査の立会・不服申立 に関する解決事例

  • 橘高和芳弁護士が担当した遺産相続に関する事例が
「金融・商事判例 No.1553号」(2018年11月15日号)
に掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
週刊ダイヤモンド「相続&事業承継(決定版)」(2018年12月号)
に掲載されました
  • 相続問題事例
  • 遺産相続・遺言書に役立つ書式集
  • 遺産相続トラブル解決チャート
  • 2016年10月 日経MOOK「相続・事業承継プロフェッショナル名鑑」のP84に「羽賀・たちばな会計事務所」が、P134に「たちばな総合法律事務所」が掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
「フジサンケイビジネスアイ」
に掲載されました
(2015年11月2日(月)27面)
  • 旬刊「経理情報」2016年4月20日号(NO.1444)に「D&O保険の保険料にかかる税務ポイント」を寄稿いたしました。