相続における養子縁組~民法と税法~

2017.1.17

1 相続税法における養子の人数制限

 相続税法では、基礎控除や生命保険金の非課税枠などで相続人の数が問題となります。昔は、要旨の人数に制限が無かったらしいですが、現在は、実子がいる場合には養子は1人、実子がいない場合には2人までが相続人の数としてカウントできることになっています。
なお、相続税法63条では、上記の1~2人であっても、場合によっては否認できる旨の規定がありますので、養子縁組を何故するか、親子関係の実体があるかといった点の証拠は揃えておいたほうがよいでしょう。

2 民法においては養子の人数に制限はない?!

 上記相続税法の知識がいきわたっているから故の誤解か、何人も用紙を取ることはないという社会常識からか、民法でも養子縁組の人数は制限されていると思われている方が多いです。
しかし、実際には、民法では、養子縁組の人数を制限する規定はなく、親子関係を創設する実体意思と届出があれば足り、左記用件を満たすのであれば何十人でも養子縁組をすることは理論上は可能です。

3 裁判で養子縁組が無効となる例も

 もっとも、実際に親子関係を営む場合には、何十人も子供を養う、又は子に養ってもらうという例は考えにくく、そのため、裁判例の中には、被相続人の生前において相続争いが起きつつある状況下で、推定相続人の配偶者や子の3人と養子縁組をした例で、養子縁組を無効とした例があります。そのため、民法上も、社会通念という意味での人数制限があるといえます。

4 養子縁組が相続紛争を誘発することも

 また、養子縁組をすると、実子の法定相続分が減少しますので、養子縁組は相続紛争を誘発する側面があることは否定できません。特に子が2人以上て、その子のうちの特定の子の子(孫)のみを養子縁組すると、きちんと他の子の説明しておくなどしておかないと、ほぼもめてしまうと言ってよいでしょう。
弁護士としては、養子絡みの相談を受けると、法務局から養親縁組届をまずは取寄せて、無効確認の裁判をするか検討することになり、前述の裁判例などの傾向を踏まえて、実際に提訴するかを判断していきます。

5 お困りの場合には

 戸籍を取り寄せたところ、養子縁組されてしまっていてどう対応したらよいかわからない、税務署から養子縁組の経緯について聞かれているなどでお困りであれば、たちばな総合法律事務所へご相談ください(初回30分無料)。 ご相談のご予約は、https://law-tachibana.sakura.ne.jp/law-tachibana.jp/contact/ 又は06-6467-8775にお電話いただいてご予約いただき、お気軽にご相談ください。

 

このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)

大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995

事業承継・相続 に関する解決事例

  • 橘高和芳弁護士が担当した遺産相続に関する事例が
「金融・商事判例 No.1553号」(2018年11月15日号)
に掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
週刊ダイヤモンド「相続&事業承継(決定版)」(2018年12月号)
に掲載されました
  • 相続問題事例
  • 遺産相続・遺言書に役立つ書式集
  • 遺産相続トラブル解決チャート
  • 2016年10月 日経MOOK「相続・事業承継プロフェッショナル名鑑」のP84に「羽賀・たちばな会計事務所」が、P134に「たちばな総合法律事務所」が掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
「フジサンケイビジネスアイ」
に掲載されました
(2015年11月2日(月)27面)
  • 旬刊「経理情報」2016年4月20日号(NO.1444)に「D&O保険の保険料にかかる税務ポイント」を寄稿いたしました。