このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)
大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995
相続税の税務調査の対象となった場合、税務署は、口座を有すると思しき金融機関に紹介をかけますが、その中には、貸金庫契約の有無も照会事項として含まれています。
そのため、被相続人に貸金庫があるか否かは、税務署にわかると思ったほうが良いでしょう。
貸金庫があると分かった場合には、次に開扉履歴について調査します。これは、亡くなる直前や直後に貸金庫に行っていると、貸金庫から財産を持ち出したのではないか、また、銀行に出向いたのはだれかなどを特定して財産が流れていないかの調査につながっていきます。
そして、上記の調査結果を把握したうえで、相続人に対する面談での調査では、貸金の存在やだれか開けにに行ったかを聞いてきます。ここで事実と異なることを言うと、「隠ぺい」ありとして重加算税の対象になりかねません。貸金庫に限りませんが、記憶通りのことを話すのが無難で、ただ記憶があいまいという場合にはよく覚えていないというのが無難でしょう。
自宅に金庫があるかどうかは、自営業者か(何らかの金庫があるのが通常のため)、通帳の履歴に金庫店への支払いがないか、面談調査の際の雑談などから金庫がないかを探ってこられます。特に雑談の場合では、思わぬ方向から話が飛んでくる(例えば、物騒な世の中になってきましたねとか、不動産の権利証は大事にされているでしょうねなどの世間話から、じゃあ権利証の保管場所を見せていただいていいですかなどの流れとなることもあります)ので注意が必要です。