相続税の追徴課税~追徴分を納付しても争えるか~

2016.2.12

1 相続税の追徴課税

 相続税の税務調査の結果、当初の申告より相続財産や相続税が多いとなった場合、修正申告することになりますが、相続税以外にも、延滞税、過少申告加算税(無申告の場合は無申告加算税)、重加算税の納付を求められます。これらを総称して「相続税を追徴課税」されたと表現されることが多いです。

2 追徴課税~相続税(本税)をどう争うか~

 追徴課税される例で多いのは、名義財産、つまり子供名義や孫名義の財産について、お金を出したのは親だから親の遺産であると税務署が主張する場合です。
申告漏れとなっていた相続税については、どのみち納付しなければならないものであった税金といえます(「見解の相違」があるものの、しぶしぶ納付するということもあるかもしれません)が、税務署は、「あるべき相続財産」を主張してきて、納得できない場合もあると思います。その場合には、丹念に証拠を集めて、税務署の主張するストーリーと異なるアナザーストーリー(納税者のトゥルーストーリー)を主張し、証拠を提出していくことになります。
税務署との見解の一致を見るなどした場合には、修正申告をすることになりますが、相続税の額そのものを争う場合には、修正申告せずに税務署の更正処分をしてもらい、更正処分の取消しを求めて、異議申立て(再調査の請求)、審査請求、裁判と手続きを踏んでいくことになります。

3 追徴課税~相続税以外に加算税や延滞税も~

 他にも、過少申告加算税や無申告加算税、悪質な場合には重加算税を課せられ、申告漏れになっていた相続税に対する遅延利息である延滞税も追徴されます。

4 争う場合でも、延滞税の発生を止めるため速やかな相続税の納付を検討するべき!

 相続税の更正処分に対して争っていくとしても、延滞税は納付されない限り発生し続けますので、可能であれば申告漏れとなっていた相続税を速やかに納付して延滞税の発生を止めたほうが良いでしょう。

5 追徴課税を納付しても、更正処分を認めたことにならない!

 ご相談者の中には、更正処分の中の相続税や加算税を納付したら税務署の言うことを認めたことになってしまい、裁判などで不利に斟酌されるのではないかと恐れる方もいらっしゃいます。
しかし、民事の紛争とは異なり、更正処分に従った納付が不利に斟酌することはありません(更正処分は取り消されるまで有効に存在しますのでその処分に従って納付したにすぎず、処分を争う意思は異議申立てなどで明らかであるため)。

6 お困りの場合には

 相続税の税務調査にどう対応したらよいかわからない、相続税の更正処分・決定処分、過少申告加算税・無申告加算税・重加算税の賦課決定処分にどう対応したらよいかわからない、相続手続をどう進めたらよいか分からないなどでお困りであれば、たちばな総合法律事務所へご相談ください(初回30分無料)。 ご相談のご予約は、https://law-tachibana.sakura.ne.jp/law-tachibana.jp/contact/ 又は06-6467-8775にお電話いただいてご予約いただき、お気軽にご相談ください。

 

このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)

大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995

相続手続き・遺産相続執行 に関する解決事例

  • 橘高和芳弁護士が担当した遺産相続に関する事例が
「金融・商事判例 No.1553号」(2018年11月15日号)
に掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
週刊ダイヤモンド「相続&事業承継(決定版)」(2018年12月号)
に掲載されました
  • 相続問題事例
  • 遺産相続・遺言書に役立つ書式集
  • 遺産相続トラブル解決チャート
  • 2016年10月 日経MOOK「相続・事業承継プロフェッショナル名鑑」のP84に「羽賀・たちばな会計事務所」が、P134に「たちばな総合法律事務所」が掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
「フジサンケイビジネスアイ」
に掲載されました
(2015年11月2日(月)27面)
  • 旬刊「経理情報」2016年4月20日号(NO.1444)に「D&O保険の保険料にかかる税務ポイント」を寄稿いたしました。