大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995
行為計算否認規定~租税法律主義(憲法84条)と平等原則(憲法14条)の衝突?
1 税務調査での行為計算の否認規定
12月の半ばに差し掛かろうとしているので、税務調査もひと段落しつつある状況と思われます。
税務調査で、他の税法の規定からは問題とすることができず、税務署側が行為計算の否認規定(所得税法157条、法人税法132条~132条の3、相続税法64条)を持ち出して修正申告を迫る又は税金を増額する更正処分をするケースがたまにあります。
行為計算否認規定の「不当」とは、一般経済人を基準にして不自然不合理な場合を意味すると裁判上解釈されていますが、納税者と税務署とで、何が「経済的に不合理」かで対立することは多いです。
納税者からすると、行為計算の否認規定のような法令や通達にはっきりと何をしたら経費として認めないなどと書いておらず、納得できないと感じられると思われます。他方、調査官は調査官で、他の正直な適正に納税している納税者が馬鹿を見るわけにはいかないと主張します。
2 憲法の条項同士の衝突?
納税者は、まさに、法律できっちり明確な規定がないと税金は課せられないはずだという憲法84条(租税法律主義)に係る主張であり、調査官は、他の納税者との平等を期すという憲法14条(平等原則)に係る主張となります。
行為計算の否認規定は、憲法の条項同士が衝突しているように見えます。
しかし、全ての事態を想定して法律化するのは難しいという一定の合理性があるため、同規定を違憲とする見解は見当たりません。
3 行為計算否認規定の主張にどう反論はどうする?
納税者としては、行為計算否認と言われた場合には、「経済合理性」を基礎づけ推認させる間接事実を証拠とともに主張するほかありません。
具体的には、当該行為を取った際に収拾した情報、とりうる選択肢(法的構成)が他にあったか、他の選択肢を取らなかった理由などの証拠をそろえながら主張する必要があります。また、全くの第三者との取引とした場合でも、十分にあり得る取引であったという視点も必要となります。
この点は、税務に詳しい弁護士、事実認定・証拠評価に詳しい税理士に相談することが良いと思われます。
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