税務調査で質問調書や質問てん末書へ署名を求められたら???

2015.11.20

1 税務調査での納税者側の文書化の必要性

 相続税などの税務調査では、税務署員は2人1組となって、一人が質問役、一人が書記役となります。そして、税務署員は、調査が終わると、調査の経過を文章化、具体的には誰がどのように発言したかを問答形式でまとめたり、どのような書類の提示を受けたかなどを文字化して、上司に復命します。
ただ、税務署員は、正直者が馬鹿を見ないように適正課税を実現するという職責ゆえか、調査対象者に有利なことを積極的に聞き出すというスタンスはあまりなく、税額を増やす方向での質問が多く、文書化しても、納税者の発言について納税者の言わんとすることが書かれていない内容になる場合が多いといえます。
そのため、納税者側も、税務調査を受けた場合には、税務署員の発言内容や自身の応答内容を、その日のうちに文書にしておくのが良いでしょう。これは、記憶が新鮮なその日のうちに文書して信用性を確保するという証拠確保の意義を持っています(「記憶の缶詰」と例えられます。)。

2 税務署が納税者に質問調書(質問応答録取書、質問てん末書)に署名押印を求めるのはどういう場合か?

 税務署員は、調査の経過を逐一文書化しているのですが、税務調査の中には税務署員が書いた質問調書に署名押印をするよう納税者に求めてくる場合があります。文章の形式としては、税務署員が質問して、納税者がどのように回答したかという問答形式で記載されることが多く、最後に納税者に署名押印させ、質問者と書記役の署員2名の署名押印する形式となっています(なお、刑事事件の供述調書では、「物語形式」で被疑者が犯行前後の状況を一連のストーリーで話す形式をとることが多いです。)。
質問調書は、どういう場合に書かせるかというと、色々なパターンがあり、習慣として質問調書を作成する場合もありますが、多くは税金を増やすのに有利な内容について納税者に語らせて、証拠化(自白)するというものです。例えば、納税者の説明が重要部分で変遷している場合にその変遷しているということを証拠にする必要がある場合、重加算税の隠ぺい・仮装に当たる事実、また、重加算税の「殊更過少」のカテゴリーについて納税者が調査を拒否した具体的な対応や発言を証拠に残しておく必要がある場合などがあります。
もちろん、納税者の記憶に合致しており、法律的にも証拠評価的にも問題がない内容であれば、積極的に署名押印するべきでしょう(署名押印しなかった場合には、署名押印したくないと申し述べて署名押印しなかったなどと末尾に記載されて、署員2名が署名押印します)。

3 署名押印を求められた場合は弁護士に相談を!!

 ただ、質問調書を求めてくるパターンは様々で、最悪裁判となった場合にどのように使われるかを見越したうえで署名押印する必要があります。そのため、質問調書への署名押印を求められた場合には、すぐに署名押印をせずに、弁護士や税理士と相談してからにしたほうが良いでしょう。

4 質問調書の訂正申立てはできるが・・・

 質問調書については、納税者の記憶が納税者に有利なように記載されていない場合もありえ、その場合には納税者が訂正の申立てをすると、税務署側が訂正してくれることがあります。そのため、少しでも疑問に持ったら、訂正の申し立てをすることになりますが、この訂正申立ては決して妥協しないようにする必要があります。

5 一度署名押印した質問調書は撤回できない?! 特に申立てにより訂正された調書は?!

 訂正申立てについて決して妥協してはならないと書いたのは、署名押印すると、その質問調書の内容を認めたことになり、質問調書を撤回して、あの表現は税務署員の一方的な決めつけだったとか、ニュアンスが違うといったことはほぼ主張できなくなるからです。
また、中途半端に、例えば2か所の訂正申立てをして、文言のミスなど形式的なところを1か所訂正された質問調書に、妥協して署名押印すると、質問調書の撤回は不可能となります。なぜなら、訂正申立てして訂正された質問調書に署名押印したのであるから、訂正されていない部分について納税者は認めたという推認が更に働くからです
したがって、訂正申立てをする場合には、訂正を求めた事項がすべて訂正されない限り、署名押印することは避けたほうよいでしょうし、訂正を要する箇所が表記ミス以外の内容面にわたる場合には、むしろ裁判に習熟した弁護士に相談したうえで署名押印の可否を判断したほうが良いでしょう。
また、1に戻りますが、どのような経緯で質問調書への署名押印を求められたか、質問調書の内容はどのようなものであったか、訂正申立てを受け入れてくれたか、税務署員の応答はどうだったかを、納税者側で文書化してく必要が高いといえます。

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税務調査の立会・不服申立 に関する解決事例

  • 橘高和芳弁護士が担当した遺産相続に関する事例が
「金融・商事判例 No.1553号」(2018年11月15日号)
に掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
週刊ダイヤモンド「相続&事業承継(決定版)」(2018年12月号)
に掲載されました
  • 相続問題事例
  • 遺産相続・遺言書に役立つ書式集
  • 遺産相続トラブル解決チャート
  • 2016年10月 日経MOOK「相続・事業承継プロフェッショナル名鑑」のP84に「羽賀・たちばな会計事務所」が、P134に「たちばな総合法律事務所」が掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
「フジサンケイビジネスアイ」
に掲載されました
(2015年11月2日(月)27面)
  • 旬刊「経理情報」2016年4月20日号(NO.1444)に「D&O保険の保険料にかかる税務ポイント」を寄稿いたしました。