大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995
相続税対策の3つのK
1 相続税対策の3つのK
相続税対策は、色々スキームはありますが、基本は3つのKとなります。
1つめは、財産の帰属(「き」ぞく)の変更、2つ目は、財産の形態(「け」いたい)の変更、3つ目は控除枠(「こ」うじょわく)の活用となります。
2 財産の帰属の変更
簡単に言うと、生前贈与や利付債権について信託契約の締結などにより、子や孫世代に移していくことです。
注意点は、①相続開始前3年以内の贈与は相続税の対象となりますので、早めに始めることが肝要となります。
②また、どの財産を、いくら贈与するかを慎重の検討する必要があります。相続税が安くなることを狙うあまり多額の贈与をすると、老後資金が枯渇することもあり得ます。また、一般的には、収益を生む賃貸物件の贈与が望ましいですが(財産を残される方の財産増加スピードを抑えて、相続税率や相続税額が上がらないようにするため)、賃貸物件に敷金債務がある場合には敷金債務分の金額も贈与しておかないと、相続税評価額ではなく時価額を基準に課税される可能性がありますので注意が必要です。
3 財産の形態の変更
現預金がある場合には、不動産を購入すると、計算上対象財産の評価が安くなることを利用したものです。例えば、1億円の現預金で、1億円の宅地を購入した場合、路線価は時価の約80%となる場合が多いため、相続税上は8000万円と評価されます(さらに、賃貸アパートを建設すると、借家人の土地に対する間接的な支配も勘案されてさらに安くなります)。
ただし、不動産は、固定資産税という経費が毎年発生すること、流動性が低いこと(売りたくても売れない状況となる可能性があること)、賃貸物件が供給過剰になりつつある現況から、立地の厳選、取得後5年以内での売却や賃貸物件の入換えを見越す(出口戦略)など経営判断を要しますので、相続税対策のみだけでは判断できない難点(経営センスが要求される問題)があります。
4 控除枠の活用
相続税法上の控除枠としては、相続人に係る①生命保険金控除(500万円×法定相続人の人数)、②会社がある場合には死亡退職金控除(500万円×法定相続人の人数)や弔慰金制度の活用があります。また、③養子縁組も相続税対策としては有用です(相続対策としてはデメリットがあります)。
5 メンテナンスの必要
相続税対策としては、時間を味方につけるという観点からは、毎年の贈与を基本に考えることになりますが、財産を残されるお方の健康状態や収入、管理会社の収入や資産の状況変化を踏まえながら、毎年の贈与額をどうするか、はたまた遺言の内容を変えて後継者を再検討するなどのメンテナンス作業が必須となります。
事業承継・相続 に関する解決事例
- 2022.11.4
- 閉鎖会社による少数株式の取得と分配(入口と出口)~流れと税務~
- 2022.9.7
- 中小企業の会社支配をめぐる紛争(その4)
- 2022.9.7
- 中小企業の会社支配をめぐる紛争(その3)
- 2022.9.7
- 中小企業の会社支配をめぐる紛争(その2)
- 2022.9.7
- 中小企業の会社支配をめぐる紛争(その1)