このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)
大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995
昔は、会社の設立の際に7人の発起人を要した時代があったため、出資をしていないのに株主名簿に株主として名を連ねている方は珍しくありません。
また、相続税対策なのか、親族以外に株式を譲渡した形式をとられている場合も散見されます。一時、世間で騒がれた西武鉄道が名義株の問題としては有名です。
名義株を放置しておくと、実際にお金を払い込んだ人が株主なのか、株主名簿上の株主が真の株主かわからなくなり、重要な意思決定ができなくなる恐れがあります。特に代を重ねると、真相はやぶの中になります。
名義株の真の保有者は誰なのかは、結局は事実認定の問題となり、株券発行会社であれば株券の占有者が誰かをまず特定する必要があります(権利推定規定が働くので占有者が真の保有者とみて良いでしょう)。
株券不発行会社の場合には、株主名簿の記載を参考にしつつも、原資、利益、管理などの諸点についても証拠を収集して、誰が保有者科の事実認定をすることになります。例えば、出資したのは誰か、配当を受領しているのは誰か、名義変更されている場合にはその経緯(全くの第三者ではなく、従業員などの場合には形式上の譲渡とみる余地が出てきます)、総会の招集通知を送っているのか、株主が住所変更などした場合にきちんと届出されているのか放置されているのかなどを考慮して判断することになります。
上記については、証拠を収集して、弁護士として意見書を作成し、株主名簿や法人税申告書の別表二を修正することになります。もちろん、名義株主の方には、名義上の株主過ぎないという一筆をもらえれば、課税リスクの回避という点でそれに越したことはありません。