配偶者の税額軽減と期限後申告

2017.3.17

1 相続税の配偶者の税額軽減とは

 相続税では、ざっくり言うと、亡くなった方の配偶者が法定相続分か1億6000万円のいずれか多いほうを相続する場合には、その財産については相続税を課税しないという制度があります。
上記軽減制度の要件の一つに、配偶者が取得する財産が確定していること、法定申告期限までに申告をすることがあります。

2 法定申告期限以内に分割できそうにない場合

 もっとも、相続人間で遺産分割協議が難航して、配偶者が取得する財産を特定できない場合はよくあります。
その場合には、とりあえず法定相続通りに相続したと仮定して期限内申告書を作成し、かつ3年以内の分割見込書という書類を提出することになります。そして、実際に分割できた場合に、配偶者である相続人は、分割協議内容に基づいて、更正の請求をして納付しすぎた税金の還付を請求することになります。

3 法定申告期限内に申告書を提出していない場合

 また、法定申告期限内に申告書を提出していない場合には、配偶者の税額軽減が利用できないようにも見えます。
しかし、条文の文言からは、期限後申告書と同時に3年以内の分割見込書(内容は3年以内に分割が成立したという内容になります)を提出すれば、配偶者の税額軽減の利用が可能です。ただし、配偶者の税額軽減制度について利用が可能かは、協議が成立しているか(できそうか)、法定申告期限から3年以内かなど多角的に確認する必要がありますので、弁護士・税理士の専門家に確認してもらったほうが良いでしょう。

このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)

大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995

事業承継・相続 に関する解決事例

  • 橘高和芳弁護士が担当した遺産相続に関する事例が
「金融・商事判例 No.1553号」(2018年11月15日号)
に掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
週刊ダイヤモンド「相続&事業承継(決定版)」(2018年12月号)
に掲載されました
  • 相続問題事例
  • 遺産相続・遺言書に役立つ書式集
  • 遺産相続トラブル解決チャート
  • 2016年10月 日経MOOK「相続・事業承継プロフェッショナル名鑑」のP84に「羽賀・たちばな会計事務所」が、P134に「たちばな総合法律事務所」が掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
「フジサンケイビジネスアイ」
に掲載されました
(2015年11月2日(月)27面)
  • 旬刊「経理情報」2016年4月20日号(NO.1444)に「D&O保険の保険料にかかる税務ポイント」を寄稿いたしました。