このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)
大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995
相続税では、ざっくり言うと、亡くなった方の配偶者が法定相続分か1億6000万円のいずれか多いほうを相続する場合には、その財産については相続税を課税しないという制度があります。
上記軽減制度の要件の一つに、配偶者が取得する財産が確定していること、法定申告期限までに申告をすることがあります。
もっとも、相続人間で遺産分割協議が難航して、配偶者が取得する財産を特定できない場合はよくあります。
その場合には、とりあえず法定相続通りに相続したと仮定して期限内申告書を作成し、かつ3年以内の分割見込書という書類を提出することになります。そして、実際に分割できた場合に、配偶者である相続人は、分割協議内容に基づいて、更正の請求をして納付しすぎた税金の還付を請求することになります。
また、法定申告期限内に申告書を提出していない場合には、配偶者の税額軽減が利用できないようにも見えます。
しかし、条文の文言からは、期限後申告書と同時に3年以内の分割見込書(内容は3年以内に分割が成立したという内容になります)を提出すれば、配偶者の税額軽減の利用が可能です。ただし、配偶者の税額軽減制度について利用が可能かは、協議が成立しているか(できそうか)、法定申告期限から3年以内かなど多角的に確認する必要がありますので、弁護士・税理士の専門家に確認してもらったほうが良いでしょう。