連年贈与は一括贈与?

2016.9.28

1 連年贈与とは?

 連年贈与は、毎年毎年、同じ金額を子供に贈与するケースを指すことが多いです。また、金額も、贈与税の基礎控除額の110万円以下、または少し超える程度の金額とすることが多いようです。

2 連年贈与は一括贈与??

 税務署は、連年贈与に対して、最初の贈与年に毎年贈与をする意思があったから、贈与税を課税すると主張することがあるようです。基礎控除額以下では、税金が取れないので、最初の贈与年に向こう5年間にわたり毎年110万円を贈与する意思、つまり合計550万円を贈与する意思があり、もらう側もこれを承諾したから、550万円に対する贈与税を支払うべきという構成をとるわけです。

3 実際に一括贈与の意思を立証できるのか?

 ただ、弁護士としては、税務署の法的構成は、可能性という意味ではあり得るものの、裁判での立証が難しい法的構成だと思います。最初の贈与年に毎年にわたり○年分を贈与するという明確な贈与額に関する意思があったとする証拠は通常ないこと(契約書があれば別ですが)、経済変動や懐具合によっては贈与額が変わる可能性が十分にありえること、もらう側はもらう側で、A年からB年まで毎年もらえるということを承諾する意思表示をしたとの立証は難しいと思われるからです。なお、立証責任は、更正の請求でない限り、税務署にあります。
もちろん、世上で言われている、毎年の贈与額を変更する、毎年契約書を作成するなどは、一括贈与を否定するという意味で有効な方策です(立証論的には、一括贈与の申込・承諾を否定する間接事実となります。)。

4 お困りの場合には

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このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)

大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995

事業承継・相続 に関する解決事例

  • 橘高和芳弁護士が担当した遺産相続に関する事例が
「金融・商事判例 No.1553号」(2018年11月15日号)
に掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
週刊ダイヤモンド「相続&事業承継(決定版)」(2018年12月号)
に掲載されました
  • 相続問題事例
  • 遺産相続・遺言書に役立つ書式集
  • 遺産相続トラブル解決チャート
  • 2016年10月 日経MOOK「相続・事業承継プロフェッショナル名鑑」のP84に「羽賀・たちばな会計事務所」が、P134に「たちばな総合法律事務所」が掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
「フジサンケイビジネスアイ」
に掲載されました
(2015年11月2日(月)27面)
  • 旬刊「経理情報」2016年4月20日号(NO.1444)に「D&O保険の保険料にかかる税務ポイント」を寄稿いたしました。