立替か、扶養義務の履行か

2016.2.5

1 被相続人のためにその生前に立替えた費用(相続税申告の際の債務控除の可否や相続財産からの支払)

 相続税の申告では、現に存する確実な債務は相続財産が控除することができます。申告の際に、相続人の中で、被相続人のためにその生前に立替えた費用があり、それを債務控除の対象にならないかと質問を受けることがあります。
また、相続税の申告までは至らない遺言執行の際にも、被相続人のためにその生前に立替えた費用があるので、支払ってほしいと言われることがあります。
このような場合には、以下の事実を確認して、相続税の債務控除の対象となるか、立替金と認定できるか判断することになります。

2 確認しなければならないこと

 確認しなければならないこととしては、①支出があったか(≒領収証はあるか、領収証の原本を保管していたのは立て替えた人か、領収証記載の品目が被相続人のための支出といえるか)、②誰がお金を出したか(被相続人の現預金から出ていない、できれば立て替えられる方の預金口座送金するようにする)、③扶養義務の履行ではないか(被相続人には援助が不要なほどの資力があったか、また、立て替えた人の経済状況などから判断します)などを確認します。
これらの事実から総合的に判断して、立替か、扶養義務の履行かを判断することになります。また、立証責任がどちらにあるのかも判断に影響します。

3 立て替える場合の注意点

 親のために生活費などを一部立て替えられるお子さんは、多いと思いますが、上記の点に注意する必要があり、領収証を保管するのはもちろん、被相続人のための支出であることがわかるように領収証の裏面又はノートなどに支出の理由などを記載しておくのが良いと思われます。

4 お困りの場合には

 相続税の申告で、立て替えた費用が債務控除の対象となるかわからない、相続税の税務調査でどう受け答えをしたらよいかわからない、相続財産から生前に立て替えた費用を支払ってもらえるかわからないと言いうことでお困りであれば、たちばな総合法律事務所へご相談ください(初回30分無料)。
ご相談のご予約は、https://law-tachibana.sakura.ne.jp/law-tachibana.jp/contact/ 又は06-6467-8775にお電話いただいてご予約いただき、お気軽にご相談ください。

このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)

大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995

事業承継・相続 に関する解決事例

  • 橘高和芳弁護士が担当した遺産相続に関する事例が
「金融・商事判例 No.1553号」(2018年11月15日号)
に掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
週刊ダイヤモンド「相続&事業承継(決定版)」(2018年12月号)
に掲載されました
  • 相続問題事例
  • 遺産相続・遺言書に役立つ書式集
  • 遺産相続トラブル解決チャート
  • 2016年10月 日経MOOK「相続・事業承継プロフェッショナル名鑑」のP84に「羽賀・たちばな会計事務所」が、P134に「たちばな総合法律事務所」が掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
「フジサンケイビジネスアイ」
に掲載されました
(2015年11月2日(月)27面)
  • 旬刊「経理情報」2016年4月20日号(NO.1444)に「D&O保険の保険料にかかる税務ポイント」を寄稿いたしました。