このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)
大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995
親会社の役員は、子会社の不正行為の監視義務(福岡地裁平成23年1月26日判決)を負い、また、会社法362条4項6号・同規則100条1項5号より内部統制システム整備が求められるので、子会社の情報管理体制も整備する義務があります。
中小企業でも業績好調な会社は、相続手続きの一環としての相続税対策で、ホールディングス会社を設立することがあります。その場合には、会社分割などにより従前の事業部分を子会社とし、新たに持ち株会社(親会社)を設立することが多く、役員も共通であることが多いです。
ただ、親会社役員は、委任契約に基づく経営管理、子会社の情報管理体制の構築責任を会社(究極的には株主)に負うのはもちろん、忘れがちですが、親会社自身の情報管理体制の構築の責任を負っています。事業会社(子会社)については情報管理体制を構築しても、その後に相続対策で持ち株会社(親会社)を設立した場合には、親会社の諸規則を事業会社である子会社同様に整備する必要があるといえます。