任期途中で取締役の任期短縮の定款変更した場合

2016.4.11

1 取締役の任期~長いところは10年

 取締役の任期は、定款に規定されていますが、長いところでは10年(正確には、選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結の時まで)というところもあるようです。登記費用の節約のためと思われます。

2 任期途中で任期を短縮する定款変更と損害賠償請求

 選任時点では長く取締役を務めてほしくても、その後の事情の変化があり(又は害がないと思われた取締役がブラックシープと化すなどして)、退職(辞任)してほしい場合も出てくると思います。この場合、取締役が任意に退職しない場合に定款を変更して任期を短縮することもあるようです。
ただ、上記の定款変更による任期短縮は、実質的には解任と同じですので、原則として会社は、取締役に損害賠償(残り期間の報酬をもとに積算することになるでしょう)する必要があります(会社法339条2項類推。東京地裁平成27年6月29日判決)。

3 損害賠償しなくてよい「正当な理由」とは?!

 会社法の条文上は、会社側に定款変更の正当な理由があれば、損害賠償をしなくて済むことになりますが、①なぜ取締役の人数を全体として減員するのか(員数を減らす場合)、②期間を10年にしたものを短縮する理由があるのか、③再任しなかった取締役について改選時期まで待てない理由があるのか、④再任しなかった取締役をピックアップした基準は何かなどを詳細に立証する必要があります。
前項で上げた裁判例で、会社は取締役全員が親族で取締役会が形骸していたため、その活性化のためという理由を主張したようですが、裁判所は新たに親族以外のものを取締役に選任すれば足りるはずであるとして「正当な理由」を認めませんでした。

4 お困りの場合には

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このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)

大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995

会社法務全般 に関する解決事例

  • 橘高和芳弁護士が担当した遺産相続に関する事例が
「金融・商事判例 No.1553号」(2018年11月15日号)
に掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
週刊ダイヤモンド「相続&事業承継(決定版)」(2018年12月号)
に掲載されました
  • 相続問題事例
  • 遺産相続・遺言書に役立つ書式集
  • 遺産相続トラブル解決チャート
  • 2016年10月 日経MOOK「相続・事業承継プロフェッショナル名鑑」のP84に「羽賀・たちばな会計事務所」が、P134に「たちばな総合法律事務所」が掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
「フジサンケイビジネスアイ」
に掲載されました
(2015年11月2日(月)27面)
  • 旬刊「経理情報」2016年4月20日号(NO.1444)に「D&O保険の保険料にかかる税務ポイント」を寄稿いたしました。