このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)
大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995
生命保険の中には、医師から余命6か月の宣告を受けた場合に、生命保険金の一部を生前に受け取ることができる特約が付いているものがあり、この特約をリビングニーズ特約と言います。
亡くなる前に、例えば先進医療の医療費に充てる、思い残すことが無いように旅行や趣味にお金を投じるなど資金を有効に活用するためにある特約と言えます。
リビングニーズ特約で生命保険金の前渡しを受ける場合、保険金額から払込保険料相当額を差し引いた部分について、所得税が発生しそうですが、「心身に加えられた損害に起因」した支払ということで、所得税は非課税となります。
所得税非課税ということで、実際に使用する以上に多額の保険金の前払いを受けることが多いのですが、特約による前払いを受けた保険金は相続開始時点(死亡時点)では現預金ですので、相続税の保険金の非課税枠の対象外となります(なお、非課税枠は、法定相続人の人数×500万円)。
そのため、リビングニーズ特約による前払いを受けるとしても、どの程度必要かを吟味する必要があります。