親が子に金銭請求権を持ったまま死亡した場合の相続税はかかる・からない?(相続財産と混同)

2016.4.2

1 「混同」とは?

 民法には、混同という規定があり、債権者と債務者とが同一人物になった場合には債権債務が消滅するという規定があります。たとえば、債権者と債務者が合併したとか、相続により債権者と債務者が同一人に帰属したなどです。
具体例としては、親が子供Aに不当利得返還請求権100万円を有したまま死亡した場合で、ほかの相続人が子供Bであるという事例では、子供Bは法定相続分に応じた50万円の不当利得返還請求権を相続する一方、子供Aも50万円の請求権を相続しますが、「混同」により50万円の請求権と債務は消滅することになります。子供が親の預金から勝手に引き出して費消する例はよくあり、親子間の不当利得の問題はよく問題となります(立証のハードルはいくつかありますが)。

2 混同で消滅した債権は相続税の課税対象になる!?

 混同で消滅するのなら、相続税の課税対象にはならないと即断してしまいそうになります。
しかし、相続開始の日には上記の債権は存在していることには違いがないので、上記の例では請求権100万円が相続税の課税対象となります(東京高裁平成23年11月30日判決)。相続人Aは、50万円の債務消滅という利益自体が相続により得た財産とも見ることができる点からも、相続税の課税対象になるのはやむを得ないといえます。

3 お困りの場合には

 相続税の計算がわからない、相続手続をどう進めたらよいか分からないなどでお困りであれば、たちばな総合法律事務所へご相談ください(初回30分無料)。 ご相談のご予約は、http://law-tachibana.sakura.ne.jp/law-tachibana.jp/contact/ 又は06-6467-8775にお電話いただいてご予約いただき、お気軽にご相談ください。

 

このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)

大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995

相続手続き・遺産相続執行 に関する解決事例

  • 橘高和芳弁護士が担当した遺産相続に関する事例が
「金融・商事判例 No.1553号」(2018年11月15日号)
に掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
週刊ダイヤモンド「相続&事業承継(決定版)」(2018年12月号)
に掲載されました
  • 相続問題事例
  • 遺産相続・遺言書に役立つ書式集
  • 遺産相続トラブル解決チャート
  • 2016年10月 日経MOOK「相続・事業承継プロフェッショナル名鑑」のP84に「羽賀・たちばな会計事務所」が、P134に「たちばな総合法律事務所」が掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
「フジサンケイビジネスアイ」
に掲載されました
(2015年11月2日(月)27面)
  • 旬刊「経理情報」2016年4月20日号(NO.1444)に「D&O保険の保険料にかかる税務ポイント」を寄稿いたしました。