このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)
大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995
民法には、混同という規定があり、債権者と債務者とが同一人物になった場合には債権債務が消滅するという規定があります。たとえば、債権者と債務者が合併したとか、相続により債権者と債務者が同一人に帰属したなどです。
具体例としては、親が子供Aに不当利得返還請求権100万円を有したまま死亡した場合で、ほかの相続人が子供Bであるという事例では、子供Bは法定相続分に応じた50万円の不当利得返還請求権を相続する一方、子供Aも50万円の請求権を相続しますが、「混同」により50万円の請求権と債務は消滅することになります。子供が親の預金から勝手に引き出して費消する例はよくあり、親子間の不当利得の問題はよく問題となります(立証のハードルはいくつかありますが)。
混同で消滅するのなら、相続税の課税対象にはならないと即断してしまいそうになります。
しかし、相続開始の日には上記の債権は存在していることには違いがないので、上記の例では請求権100万円が相続税の課税対象となります(東京高裁平成23年11月30日判決)。相続人Aは、50万円の債務消滅という利益自体が相続により得た財産とも見ることができる点からも、相続税の課税対象になるのはやむを得ないといえます。
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