このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)
大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995
主に飲食店で、アルバイトなどの従業員が、悪ふざけをした画像を投稿して問題となることがあります。アルバイト従業員としては、仲間内のSNSだけのつもりで投稿したつもりだったのに、いつのまにか拡散して大きな問題となる事態がみうけられます。
従業員は、会社の名誉・信用を棄損しないという意味での誠実義務を負いますので、上記の投稿は、会社に対して損害賠償責任が発生させる可能性があります。
投稿内容が第三者を誹謗中傷する内容のもの、例えば従業員が写真を添付して「このお客はねじが飛んでおかしい」と投稿した場合、その内容が名誉棄損に当たるため、投稿した従業員が当該第三者に損害賠償責任を負うのは当然です。
注意しなければならないのは、上記写真が、会社の店舗内で撮影されたものであり、また、従業員が就業中に撮影・投稿したものであれば、会社も当該第三者に対し使用者責任(民法715条)として損害賠償責任を負う可能性があります。
そのため、採用時に誓約書を提出させ、就業時間中の投稿の禁止、就業時間外でも会社関係の投稿を原則禁止するなどができないか検討する必要があります。
また、正社員である店長によるアルバイト従業員への簡単な研修なども可能かどうか検討する必要がありますし、アルバイト用の就業規則がある会社の場合には、違反した場合にどのような懲戒処分となるかも明示したほうが良いでしょう。
なお、投稿が、公益者通報保護法で保護される対象となるかも問題となりますが、悪ふざけとみられる写真は、被害の発生・拡大を防止するために必要なものではありませんので、公益者通報保護法の適用対象外となることには争いがないと思われます。