介護事業者とマイナンバー①~「特定個人情報取扱規定」を整備すべきか~

2015.12.21

1 介護事業の利用者(お客様)のマイナンバーは価値が高い?!

介護事業者の方は、被保険者証の申請、要介護・要支援認定の申請、介護サービスの種類の変更の申請などのために、利用者(お客様マイナンバーを取り扱うことになります。
介護事業の利用者は、当然ながら高齢の方が多いことから、利用者のマイナンバーは、若年者のマイナンバーよりも価値が高いと言えます。
なぜなら、それなりの財産をお持ちの利用者の場合には、今後、マイナンバーと財産情報とが紐づけられる可能性がある点で詐欺集団から見て価値がありますし、財産をお持ちでない利用者の場合でも、年金等の不正受給のためにマイナンバーが詐欺集団などに狙われる可能性があるからです。
したがって、介護事業者の方は、利用者のマイナンバーが機密情報であることを再認識する必要があります。

2 基本方針はともかく「特定個人情報取扱規定」までは荷が重い?

 介護事業に限らず、従業員100人未満の中小企業の場合に詳細な取扱規定までは不要とされています。
また、実際問題として、詳細な取扱規定を作って、運用することができるのかという問題もあります。
そのため、基本方針は、良いとしても、詳細な「特定個人情報取扱規定」まで難しいという声を聞きます。

3 漏えい・流出した場合は、事業の存続が危うい

 しかし、介護事業の場合は、お客様・利用者のマイナンバーまで取り扱いますので、「万一の場合」の「事業が受けるダメージの大きさ」を考えると、「特定個人情報取扱規定」の策定と運用は避けて通れないと思われます。
万一の場合とは、マイナンバーの漏えい・紛失ですが、元従業員による持ち出し、うっかりミスによる流出(USBメモリに記録してUSBメモリの紛失。パソコン廃棄の際にハードディスクを破壊せずに業者に引き取らせるなど)、外部からの攻撃による情報流出などの、いずれも可能性としては低くはない確率です。
そして、「事業が受けるダメージの大きさ」とは、損害賠償リスク、行政処分リスク、風評被害リスクですが、介護保険に依拠する事業であるため行政処分リスクは大きく、また、地域に根差している事業者であるため風評被害リスクも大きく、事業の存続に影響しかねないといえます。

4 身を守る意味でも「特定個人情報取扱規定」は必要

 万が一の介護事故の場合に備えて賠償責任保険に加入されている介護事業者の方も多いと思います。同様に万が一のマイナンバー流出に備えて、「特定個人情報取扱規定」の整備は必要でしょう。
もちろん、実際の業務の流れと負担との兼ね合いから、特定個人情報取扱規定の表現、各種安全管理措置の実際のフローに合わせるなど、過不足なく作成する必要があります。

5 1か月3事業者様限定で特定個人情報取扱規定のひな形をご提供

  当事務所では、1か月、3事業者様限定で、特定個人情報取扱規定のひな形の提供をしています。ご希望の介護事業者様は、名称、住所、担当者名、電話番号をメール本文に明記して、件名を「特定個人情報取扱規定送付希望」と書いていただき、info@law-tachibana.jp までお送りください。

このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)

大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995

マイナンバー制度対策 に関する解決事例

  • 橘高和芳弁護士が担当した遺産相続に関する事例が
「金融・商事判例 No.1553号」(2018年11月15日号)
に掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
週刊ダイヤモンド「相続&事業承継(決定版)」(2018年12月号)
に掲載されました
  • 相続問題事例
  • 遺産相続・遺言書に役立つ書式集
  • 遺産相続トラブル解決チャート
  • 2016年10月 日経MOOK「相続・事業承継プロフェッショナル名鑑」のP84に「羽賀・たちばな会計事務所」が、P134に「たちばな総合法律事務所」が掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
「フジサンケイビジネスアイ」
に掲載されました
(2015年11月2日(月)27面)
  • 旬刊「経理情報」2016年4月20日号(NO.1444)に「D&O保険の保険料にかかる税務ポイント」を寄稿いたしました。