このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)
大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995
新聞や雑誌で、ホテル不足から「民泊」、自身が所有する又は他から借りてきた物件をネット経由で旅行者に宿泊させる事業が盛況となっているようです。
もっとも、それなりの改装費用というイニシャルコストの他に、備品の設置、清掃、仲介サイトをこまめにチェックするコスト(Airbnb、途家網、自在客、住百家などががメジャーなようです)、仲介サイトへ支払う費用などのランニングコストがかかります(代行業者に依頼するとさらにコストがかかりますが、これは、賃貸物件に管理会社に依頼するのと同様に、テマヒマとコストとのバランスが取れているかの経営判断と言えます)。
賃借人などが加入する火災保険は、あくまで住宅用の火災保険となっています。
そのため、仮に民泊中に宿泊者が火事を起こした場合には、住宅用火災保険は適用されない可能性が高いと言えます(住宅用の火災保険は、企業用の火災保険よりも火災リスクなどの差から保険料は一般的に安価です。)。
仮に、宿泊者が火災を起こした場合、賃借人は、賃貸人に対して原状回復義務の全部または一部を履行できないことになりますので、かなりの損害賠償義務を負うことになります。
なお、賃借人は、火災を起こした宿泊者に損害賠償請求することはできますが、裁判コストや回収コストがかかってしまいます。
マンション管理組合も、専有部分のオーナー又は賃借人が民泊事業をする場合に備えて管理規則等の改正(マンション標準管理規則では住宅以外での使用を禁止ていますが、そうでない場合には改正が必要となります)を検討する必要があります。
また、民泊に限りませんが、事業者が所得(利益)を得た場合には、税金を支払うことになります。
この点については、別のコラムでも触れますが、申告対策も必須と言えます。