このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)
大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995
マイナンバーが流出したから、即、会社が刑事責任を問われるということにはなりませんが、どうしても誘惑に負けて、又は面白半分で、マイナンバーに限らず会社の情報を売りとばす従業員が出てくる可能性はゼロではありません。
結局は、会社が、マイナンバーはもちろん営業秘密などの情報管理を重視していることを折に触れて従業員に伝えるという地道な取り組みが必要です。
社長の訓示、ミーティング時の上長による注意喚起、又は年1回の弁護士など専門家による講習など複数の取組みを継続していくほかありません。
会社の多くは、就業規則のひな形をそのまま流用しているところも多いですが、「懲戒事由」や「量刑」を明示しておかないと、いざ懲戒処分をしなければいけない場合に、守秘義務違反がそもそも懲戒事由に当たるのか、当たるとしてもどの程度の懲戒処分か判断が難しくなり、毅然とした対応ができなくなりかねません。
そうすると、それが会社の情報管理重視の姿勢は形だけだという誤ったメッセージを他の従業員に対して送ることになり、情報管理が難しくなってしまいます。
そのため、情報管理の重要性を伝えていても、故意又はうっかり漏えいする場合に備えて、就業規則の中に、「懲戒事由」として従業員の守秘義務やそれを破った場合の「量刑」として懲戒解雇になるのか、減給なのか、出勤停止なのかを明示する必要があります。
また、マイナンバーに係る規程の整備をしつつ、就業規則以外にも、入社の時に提出を求める誓約書にマイナンバーなど秘密情報に係る守秘義務の明示、就業規則などの諸規則も併せて改訂する必要があります。