介護事業者とマイナンバー(利用者のマイナンバーの取扱い)

2015.12.4

1 介護事業者が取り扱うマイナンバー

 介護事業者が取り扱うマイナンバーとしては、従業員のマイナンバーのほかにも、利用者のマイナンバーも必要となります。

2 利用者のマイナンバーが必要な主な書類

 介護事業者が取り扱う利用者のマイナンバーが必要な場面としては、被保険者証の申請、氏名・住所などの変更の届け出、要介護・要支援認定の申請、同更新認定の申請、介護サービスの種類の変更の申請、高額介護サービス費支給申請、高額医療合算サービス費の支給申請、負担限度額認定の申請、サービス種類指定変更申請書などがあります。
また、今後は、マイナンバーの記載が必要な書類が増えていくとものと思われます。

3 他の業界を参考にして

 厚生労働省からは、介護保険関連のマイナンバーについて留意点などは発表されていないようで、介護業界でマイナンバーの準備が進んでいないようです。
もっとも、他業界などの運用を参考にしてマイナンバーの取扱い規程を作成し、運用することは可能です。お客様のマイナンバーを取得・保管を要する業界としては、例えば自動車のディーラーがあります(自動車重量税の納付のため)。

4 対処

 「取得」場面での、①マイナンバー確認と②本人確認については、①の通知カードでの確認、②についても写真付身分証明書のほかに、介護保険証+住民票写しや公共料金の領収証などの組み合わせをルール化・一覧表化し、収集のチェックリストを作成する必要があります。
「保存」場面では、利用者がどれほどいらっしゃるか、現在のシステムがどうなっているかという問題はありますので、利用者の基本四情報とマイナンバーのみからなるデータベースを作成して対応していくことになります。
「提供」場面では、各帳票のどこにマイナンバーの記載を要するかを確認したうえで、コンピュータ上で処理するのか、人数が少ない場合には手入力するのかなどの作業手順をルール化することになります(なお、介護保険分野ではマイナンバーを記載しないことによる不利益は、今のところ考えられませんが、将来的には、税務調査と同様に、マイナンバーの不記載が不正受給の監査調査のきっかけとなる可能性がゼロではありません)。
「安全管理措置」についても、技術的安全管理措置はシステムの問題もありますが、それ以外の安全管理措置についてはルール化と教育研修する内容はほかの業界と大きくは変わりありません。

5 介護業界特有の問題点

 介護業界は、慢性的な人で不足となっている点と職員の定着率が良くない点があります。
そのため、マイナンバーの取得、保存、提供の一連の流れでヒューマンエラーは入らないように事務の流れを再点検する、教育研修も採用直後に教材の交付とレポート作成などを課すなどの工夫が必要となります。

このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)

大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995

マイナンバー制度対策 に関する解決事例

  • 橘高和芳弁護士が担当した遺産相続に関する事例が
「金融・商事判例 No.1553号」(2018年11月15日号)
に掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
週刊ダイヤモンド「相続&事業承継(決定版)」(2018年12月号)
に掲載されました
  • 相続問題事例
  • 遺産相続・遺言書に役立つ書式集
  • 遺産相続トラブル解決チャート
  • 2016年10月 日経MOOK「相続・事業承継プロフェッショナル名鑑」のP84に「羽賀・たちばな会計事務所」が、P134に「たちばな総合法律事務所」が掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
「フジサンケイビジネスアイ」
に掲載されました
(2015年11月2日(月)27面)
  • 旬刊「経理情報」2016年4月20日号(NO.1444)に「D&O保険の保険料にかかる税務ポイント」を寄稿いたしました。