このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)
大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995
本日の日経新聞に、相続空き家対策税制に関する記事があり、その中で空き家を解体すると、住宅用地でなくなるため固定資産税の負担が約4倍に膨らむ、解体するのは買主が見つかってからが原則であるという意見が書かれていました。
税負担という点だけをとらえると、解体するのは損であるというのはそのとおりといえます。また、解体費用もそれなりの値段となりますので、その点でも、買主が見つかってから空き家を解体するというのは合理的と言えます。
ただ、空き家が老朽化により破損して、通行人や隣人などにけがをさせるというリスクは意外に無視できないものがあります。屋根から落ちた瓦が当たった、強風で壁がはがれたなどで、歩行していた人にけがをさせた場合、特に被害者が老人ですと被害が重篤なものになり、損害額が大きくなります。
そのため、固定資産税の負担増などのほかにも、第三者にけがをさせて損害賠償責任を負うリスクについても考慮したうえで、解体すると決める、解体しないもののリスクを考慮して損害保険への加入や増額を検討する、リスクは無視できる程度にとどまると判断して空き家のまま保有するという方針を決定したほうがよいと思われます。