出生前遺伝学的検査と医療費控除

2016.2.29

1 妊娠に係る検診費用と医療費控除

 妊娠と診断されてから定期検診や検査費用、通院費用は、所得税法の医療費控除の対象とされています。他に、出産で入院するときにタクシーを利用した場合のタクシー代(出産という緊急時に公共交通機関を利用することは期待できないため)や入院中の病院から支給される食事代も、医療費控除の対象となります。なお、健保組合から出産一時金等を受け取った場合には、医療費から出産一時金等を差し引いた残りが医療費控除の対象となります。

2 出生前遺伝学的検査の医療費控除の可否

  それでは、母体血を用いた出生前遺伝学的検査(胎児の染色体の数的異常を調べる検査)も、妊娠を契機とする検査なので、その検査費用も医療費控除になるのではないかと思われる方も多いと思われます。
しかし、現在の取扱いでは、同検査で染色体の数的異常が発見されても、治療につながるわけではなく、治療に先立って行われる診察と同様(所得税法基本通達73-4ご参照)には考えられないとして医療費控除の対象にならないとされています。
ただし、将来的に上記の取扱いが変更になる可能性もありますので、注意が必要です。

このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)

大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995

税務全般 に関する解決事例

  • 橘高和芳弁護士が担当した遺産相続に関する事例が
「金融・商事判例 No.1553号」(2018年11月15日号)
に掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
週刊ダイヤモンド「相続&事業承継(決定版)」(2018年12月号)
に掲載されました
  • 相続問題事例
  • 遺産相続・遺言書に役立つ書式集
  • 遺産相続トラブル解決チャート
  • 2016年10月 日経MOOK「相続・事業承継プロフェッショナル名鑑」のP84に「羽賀・たちばな会計事務所」が、P134に「たちばな総合法律事務所」が掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
「フジサンケイビジネスアイ」
に掲載されました
(2015年11月2日(月)27面)
  • 旬刊「経理情報」2016年4月20日号(NO.1444)に「D&O保険の保険料にかかる税務ポイント」を寄稿いたしました。