このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)
大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995
タイトルに挙げた国税不服審判所の裁決は、法人の代表者がJCの会議(日本JCや国際JCの会議)に出席するための交通費、宿泊費及び日当について、法人の「旅費交通費」として損金算入したことは認められないという判断をしました(平成27年7月28日裁決)。
その結果、法人税の増額更正、源泉所得税の納税告知、代表者個人は所得税の増額という結果になりました(裁判されているかはわかりません)。
納税者(法人)は、JC活動は経営者教育に係る支出だとか、JC活動で売上が上がっなどと主張して、法人の業務遂行上必要な費用だと主張したようです。
しかし、裁決では、JCの活動目的(明るい豊かな社会の実現など)と納税者の事業目的との関連性の薄さ、取引先の確保などは結果論であることから、法人税法22条3項の「費用」に当たらないと判断したようです。
法人税法基本通達9-7-15の2は、ロータリークラブやライオンズクラブについて、入会金や経常会費は法人の交際費になるとしつつ、特定役員や従業員の負担すべきものは給与になる旨の判断基準を示しています。
国税不服審判所の裁決は、上記通達と同じ趣旨で、業務との関連性が薄い支出を法人税法の「費用」・「損金」と認めることはできないという法解釈をしたと思われます。
ただ、熱心に活動されている方を拝見していて思うのですが、JCを含めた社交団体については、かなり熱心に活動しないと、売上に結びつかないように思います。
そのため、熱心に活動して「結果的に」売上に結びつく可能性が高まれば高まるほど、それに伴う支出は「損金」として認められなくなってしまうので、法人税法の「損金」概念は少し厳格すぎるかなという印象があります(法人税法の解釈上、致し方ないですが)。