このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)
大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995
依頼者と話をしていると、よく「裁判所は公平だから(わかってくれるはず)。」と言われます。つまり、公平な裁判所なら、依頼者の意向に沿う判決になるに違いないと言う趣旨でしょうか。
しかし、裁判所の公平さは、あくまで証拠に基づいて、証拠法則や裁判例などをふまえた公平さという意味であるうえ、固い証拠、つまり書類を重視しますので、いくらわかってくれるはずだからと言って「口」で説明しても、あまり意味がない場合がほとんどです。
また、どちらサイドに事実の立証責任があるかは、非常に重要です。立証責任がある側は、裁判官に確かにこの事実は存在するという確信を抱かせるだけの証拠を出さないといけません。
立証責任がある事実について、証拠不十分(裁判官から見て、よくわからない状態)の場合には、その事実はなかったものとして扱われます。
そのため、立証ができない場合には、裁判上は事実が存在しないと扱われますので、真実とは異なる結果になります。 もっとも、これは、証拠裁判の構造上やむを得ないと言えます。
ただ、自己の権利を守ると言う意味で、証拠の確保、具体的には日記・日誌などつける、メモを残しておくと言うことは少なくともしておいた方が良いでしょう。