このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)
大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995
会社の場合、取引先に対する債権は、原則として消滅時効期間は5年となります。
ただ、民法には、短期消滅時効の規定があり、例えば生産者、卸売商人や小売商人の商品代金は2年、工事の設計・施工・管理の業とする者の工事に関する債権は3年となっています。
そのため、まずは、会社の保有する債権の消滅時効が何年かを確認するのがまずは債権管理の第一歩となります。
なお、民法改正により、上記短期消滅時効制度が影響を受ける可能性がありますので、法案が成立した場合には、再度債権管理に係る記事を書く予定です。
例えばA社と何度も取引して、代金債権が複数存する場合があります。
今後も継続して代金債権が発生する場合には、取引基本契約書を作成することを検討することになります。なぜ、取引基本契約書を交わすかというと、仮に未払と言う事態になった際に、債権の特定が取引基本契約書1本でできるからです。基本契約書がない場合には、極端な例を挙げると、一番最初の注文書や請書、入金一覧を突合していかなくてはならず、大変な手間暇がかかり、過去の注文書や請書が散逸してないという事態もありますし、個々の取引ごとに消滅時効にかかっていないか管理する必要があります。
取引基本契約書を作成していないが、複数の代金債権がある場合で、銀行振り込みにより代金の内払いを受け、特にどの債権の弁済か指定されないことがあると思います。
上記のような状況で代金の支払を受け取った場合には、手間がかかりますが、複数の債権に一部弁済されたとする文書(弁済の充当指定文書)を送り、複数の債権の一部弁済と言う形をとると、消滅時効の中断とすることができます。