大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995
会社役員の賠償責任保険(D&O保険)の特約保険料の税務上の取扱い変更
1 会社役員の賠償責任保険の保険料の今までの税務上の取扱い
会社役員が①第三者からの提訴や②株主代表訴訟で被告となった場合の損害を担保する損害賠償責任保険(D&O保険)について、②株主代表訴訟の部分は特約で、その特約保険料は役員に対する給与と扱われてきました(会社には源泉徴収義務があることになります)。
株主代表訴訟は、本来会社が役員に訴えるべきところを株主が代わりに訴える訴訟ですので、会社と役員に利益相反が生じえることから、株主代表訴訟担保特約の保険料について、税務上は役員への給与と取り扱うという趣旨によるものです。
なお、株主代表訴訟担保特約の保険料は、合理的かつ課税上弊害がないかぎり、①役員の頭割り、②報酬額に比例して配分、③役職(代表取締役、取締役、監査役)に応じた配分のいずれでもよいとされています。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/shotoku/gensen/040120/01.htm
2 新たな通達の発遣
株主代表訴訟担保特約の保険料に係る例外的取扱いに関する通達(情報)が一昨日の平成28年2月24日に発遣されました。
取締役会での承認及び社外取締役全員の同意などがある場合には、利益相反の恐れが低いことから、株主代表訴訟担保特約の保険料を役員に対する給与ではなく、保険料として損金に算入できることになりました。 https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/160218/index.htm
なお、D&O保険の保険料の全額を負担すると考えている会社に対して、保険会社からD&O保険の見直しの営業攻勢がすごいということが早くも漏れ聞こえてきます。
3 株主代表訴訟で役員勝訴又は訴えが取下げられた後で会社が役員の争訟費(弁護費用)を補填した場合
なお、株主代表訴訟で役員が勝訴した場合や訴えが取り下げられた場合、役員が支払った争訟費(弁護費用など)を会社が後で補填した場合も、役員への給与とはならず、また、会社の損金となるとされています。
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/gensen/03/32.htm
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