大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995
無意味又は有害な契約書の損害賠償条項
1 損害賠償条項
契約書を作成する際に、又は相手方から提示された契約書をリーガルチェックする際、損害賠償条項は、必ず置かれます。 ただ、契約書の中には、損害賠償条項の表現として疑問符がつくものがあります。
2 「間接損害は賠償しない」という表現
例えば、「直接又は間接の損害を負わない」という表現があり、その中の「間接」に意味があるのか疑問に思われます。おそらく、英文契約の条項の日本語訳を知らず知らずのうちに使用しているのかなと思われます。もちろん、賠償をめぐって揉めたときの「風よけ」程度の意味はあるのかもしれません。 しかし、日本の裁判では、つまり日本法が適用される場合には、賠償の対象は直接損害ですので、「間接損害」の表現には違和感があります。
3 「損害賠償は協議して決める」という表現
また、「損害賠償の損害額及び履行方法について相互に協議する」旨の条項もたまに見かけます。これは、損害賠償という事態になった場合に、すぐに裁判に持ち込まれたくないという趣旨なのかなと思われます。 しかし、上記の表現ですと、裁判する場合には調停(話し合い)を前置しないといけないのか、協議できないと損害賠償請求(裁判)がそもそもできないのか、あいまいであり、有害な条項(余計な争点が増える条項)と言えます。
4 あるべき賠償条項は?
損害賠償条項については、請求する側又は請求される側のどちらの可能性が高いか、逸失利益がどれくらいになるか、証拠は偏在していないかなどいろいろ考慮する要素がありますが、賠償の対象を限定する必要が強いのであれば、例えば賠償の対象を積極損害に限るなどの推定規定にするのが良いと思われます。
5 お困りの場合には
相手方から渡された契約書が有利か不利かわからない、ECサイトなどで利用規約を作ってみたものの、問題があるかわからないなどでお困りであれば、たちばな総合法律事務所へご相談ください(初回30分無料)。
ご相談のご予約は、https://law-tachibana.sakura.ne.jp/law-tachibana.jp/contact/ 又は06-6467-8775にお電話いただいてご予約いただき、お気軽にご相談ください。
契約書のリーガルチェック に関する解決事例
- 2022.6.20
- 契約書における「不可抗力条項」の見直しによりトラブルを回避・軽減するための実務対応
- 2022.4.20
- 英文契約書における秘密保持契約(3)秘密情報とこれに係る知的財産の関係
- 2022.1.28
- 英文による秘密保持契約書(Non Disclosure Agreement)作成のポイントとサンプル書式
- 2016.7.7
- 管轄の合意
- 2016.5.10
- 契約書のリーガルチェックでの注意点