無意味又は有害な契約書の損害賠償条項

2016.2.4

1 損害賠償条項

 契約書を作成する際に、又は相手方から提示された契約書をリーガルチェックする際、損害賠償条項は、必ず置かれます。 ただ、契約書の中には、損害賠償条項の表現として疑問符がつくものがあります。

2 「間接損害は賠償しない」という表現

 例えば、「直接又は間接の損害を負わない」という表現があり、その中の「間接」に意味があるのか疑問に思われます。おそらく、英文契約の条項の日本語訳を知らず知らずのうちに使用しているのかなと思われます。もちろん、賠償をめぐって揉めたときの「風よけ」程度の意味はあるのかもしれません。 しかし、日本の裁判では、つまり日本法が適用される場合には、賠償の対象は直接損害ですので、「間接損害」の表現には違和感があります。

3 「損害賠償は協議して決める」という表現

 また、「損害賠償の損害額及び履行方法について相互に協議する」旨の条項もたまに見かけます。これは、損害賠償という事態になった場合に、すぐに裁判に持ち込まれたくないという趣旨なのかなと思われます。 しかし、上記の表現ですと、裁判する場合には調停(話し合い)を前置しないといけないのか、協議できないと損害賠償請求(裁判)がそもそもできないのか、あいまいであり、有害な条項(余計な争点が増える条項)と言えます。

4 あるべき賠償条項は?

 損害賠償条項については、請求する側又は請求される側のどちらの可能性が高いか、逸失利益がどれくらいになるか、証拠は偏在していないかなどいろいろ考慮する要素がありますが、賠償の対象を限定する必要が強いのであれば、例えば賠償の対象を積極損害に限るなどの推定規定にするのが良いと思われます。

5 お困りの場合には

 相手方から渡された契約書が有利か不利かわからない、ECサイトなどで利用規約を作ってみたものの、問題があるかわからないなどでお困りであれば、たちばな総合法律事務所へご相談ください(初回30分無料)。
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このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)

大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995

契約書のリーガルチェック に関する解決事例

  • 橘高和芳弁護士が担当した遺産相続に関する事例が
「金融・商事判例 No.1553号」(2018年11月15日号)
に掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
週刊ダイヤモンド「相続&事業承継(決定版)」(2018年12月号)
に掲載されました
  • 相続問題事例
  • 遺産相続・遺言書に役立つ書式集
  • 遺産相続トラブル解決チャート
  • 2016年10月 日経MOOK「相続・事業承継プロフェッショナル名鑑」のP84に「羽賀・たちばな会計事務所」が、P134に「たちばな総合法律事務所」が掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
「フジサンケイビジネスアイ」
に掲載されました
(2015年11月2日(月)27面)
  • 旬刊「経理情報」2016年4月20日号(NO.1444)に「D&O保険の保険料にかかる税務ポイント」を寄稿いたしました。