大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995
相続税 税務調査~調査対象の選定基準①
1 税務調査の対象の選定
相続税の税務調査について、税務署内部で調査対象とするかおおよその選定基準があります。
税務署員も限られていますので、少ない人員でより多くの税金を徴収しなければならないためかと思われます。
2 被相続人に着目した選定基準
様々な判定要素がありますが、各要素ともに税額が大きくなりそうだという点で合理的といえるものです。今回は、亡くなった方(被相続人)に係る要素についてみていきます。
①直近10年のうちに譲渡所得金額が5000万円以上ある
亡くなった方が直近10年のうちに、不動産などの譲渡所得金額として5000万円以上申告している場合、相続税の申告書にも現預金ではないにしても別の不動産などそれ相応の財産額が記載されることになるはずだという前提に立っています(もちろん、散財したら残りませんが)。そのため、相続税の申告書にそれ相応の財産額の記載がないと、税務署は申告漏れを疑うことになります。
②亡くなった方が、医師や会社役員であった
高額所得者の代名詞ともいえる職業の場合には、蓄積される財産も多額になることからマークされます。
なお、余談ですが、弁護士も、選定基準の職業の一つのようですが、最近は経営苦で廃業される方も多いので、亡くなった方が弁護士だから税務調査の対象になるというよりも、儲かっていたかという次の③の基準で税務調査の要否を判定されると思われます。
③過去35年のうち所得金額が2000万円以上の年分が10年以上ある
年収が多かったから、蓄えられた相続財産も大きいはずだという前提に立っています。もっとも、税金や社会保険料などのもろもろの負担を考えると、「2000万円」が高いか低いかという点は議論がありそうです。
④亡くなった方がオーナーであった法人の税務調査で、多額の不正があった。
経営していた会社が、杜撰な経理又は意図的な不正があったのだから、相続財産にも過少又は不正があるのではないかという考えによるものと思われます。
⑤亡くなった方に関する利子調書や配当調書などがある
「利子等の支払調書」や「配当、剰余金の分配及び基金利息の支払調書」の提出がある場合には、亡くなられた方はそれなりの財産を保有しているはずだという推定が働きます。もちろん、金額の大きさにもよりますし、散財していたら残りませんが。
3 生前からマークされている?!
このように、国は、生前からの所得などの情報を蓄積して、亡くなった場合にそれを活用しています。その意味で、生前から相続税の調査対象か潜在的にマークされていると言えます。
上記の亡くなった方に着目した選定基準からも、相続対策は、生きているうちに早い段階から取り組む必要があることがお分かりになると思います。
4 お困りの場合には
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