大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995
キュレーションサイトとカラオケ法理
1 キュレーションサイトの「パクリ」問題
最近、キュレーションサイトについて、ほかのサイトの文章や画像を無断転載(パクリ)が問題となっています。
許諾なく転載している場合には、著作権の侵害となりますので(出所を表示しない場合、勝手に改変している場合には著作者人格権の侵害にもなりえます)、民事では損害賠償の問題が生じます。
もっとも、キュレーションサイトでは、責任を負うのは投稿したライターであり、サイトは場を提供しているに過ぎないと約款が用意されています(著作権を侵害しているのがライターなど投稿者であるので当然の規定とも言えます)。
2 カラオケ法理から見ると?
しかし、キュレーションサイトは、センセーショナルな記事でページヴューを稼ぎ、広告代金を稼ぐという収益構造やサイトの管理者で削除が容易という管理体制があります。
著作権侵害の主体に関するカラオケ法理では、著作権を直接侵害していない者であっても、著作権侵害行為を管理し、利益を得ている場合(他にも侵害行為の態様なども考慮されます。リンク元のサイトにある画像URLから表示させるいわゆる画像直リンクでは、リンク元を明示していれば原則適用になると思われます)には、その管理者に賠償責任に追わせるという最高裁判決の考え方です。
このカラオケ法理からすると、サイトの管理責任者にも責任が生じそうです。
3 プロバイダ責任制限法によるサイト管理者の責任軽減
もっとも、プロバイダ責任制限法があり、サイト管理者が「適切な」管理体制をとっていれば、例えば苦情窓口を設置し、権利者から削除申し出やその理由の提示があった場合に投稿者にすぐに確認して削除するか否か適切に判断する体制と構築して運用していれば(プロバイダ責任制限法3条2項)、損害賠償責任が生じません。
勿論、本当に「適切な」体制だったか、著作権侵害について知っていたのではないかと言う点で争いになる可能性があります。
4 損害額は?
仮に著作権侵害、著作者人格権侵害が成立するとしても(侵害論の立証が成功したとしても)、損害額の立証が待ち受けています。
著作権法114条に推定規定はありますが、キュレーションメディアでは114条3項の推定規定しか使えないと思われます(パクったものを売って利益を得るのではないので)。
ただ、一般の方は、ライセンス料金表を作成していないと思われ、また作成していたとしても、いつ作成したのか、金額の算出根拠、過去の実績などについても裁判になると争われる可能性がありますので(ライセンス料の高低によると思われます)、最終的には民訴法248条を最後の砦として頑張るしかないでしょう。
5 お困りの場合には
文章・画像の無断転載された、又は使用料の請求が来ているなどでお困りであれば、たちばな総合法律事務所へご相談ください(初回30分無料)。 ご相談のご予約は、https://law-tachibana.sakura.ne.jp/law-tachibana.jp/contact/ 又は06-6467-8775にお電話いただいてご予約いただき、お気軽にご相談ください。
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