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近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995
相続放棄を検討中の方必見!不動産の管理義務と手続きの基本を総まとめ

1. 相続放棄を検討中の方必見!不動産の管理義務と手続きの基本を総まとめ
相続放棄は、亡くなられた親族のプラスの財産を受け取らない代わりに、借金などの債務や維持管理の責任からも免れられる手続きです。
相続財産に「不動産(土地・建物・マンションなど)」を含む場合は、単純な金銭の放棄とは異なり、相続放棄後に注意すべき点があります。
この記事では、相続放棄の基礎知識から、不動産特有の管理義務(保存義務)、清算人の選任、そして「相続土地国庫帰属制度」といった選択肢まで網羅的に解説します。
正しい情報を踏まえて合理的に判断し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることで、将来の不安や悩みを解消しましょう。
2. 相続放棄とは?不動産を放棄することは可能か
結論として、不動産だけを選んで放棄することはできません。
相続放棄とは、被相続人から受け継ぐ権利義務の一切を拒否する手続きです。
「借金は放棄したいが実家の土地は残したい」
「預貯金は欲しいが山林だけ放棄したい」
といった、都合の良い選択は認められません。
全ての遺産を放棄するか、全て相続するかの二択となります。
不動産を含めた全ての財産を手放す覚悟が必要です。
2-1. 相続放棄の定義と全体の流れ
相続放棄の申出が家庭裁判所に認められると、その人は「初めから相続人とならなかった」ものとみなされます(民法第939条)。
全体の流れは以下の通りです。
遺産(不動産、預貯金、借金)の総額を把握する。
被相続人の戸籍謄本や除票、申述人の戸籍謄本などを取得。
期限内(3か月以内)に申立書を提出。
裁判所から届く質問状(照会書)に回答して返送。
これをもって手続き完了。
類に不備があったり、照会書の回答内容(生前の処分行為など)に問題があると判断されたりすると、申述が却下される恐れもあります。
期限内に正確な手続きを踏むことが重要です。
2-2. 不動産のみを放棄することはできない?
相続放棄はあらゆる遺産と債務を一括で放棄する手続きであり、「不要な不動産だけ」を切り離すことはできません。
例えば、「マンションは売り払って現金化したいが、借金は払いたくない」という都合の良い選択は認められません。
また、逆に「価値のある有価証券は相続したいが、管理費のかかる別荘はいらない」というケースでも、部分的な放棄は不可能です。
もし、「不動産のみを手放したい(他の財産は相続したい)」というニーズがある場合は、相続放棄ではなく、一旦相続した上で以下の手段を検討することになります。
仲介や買取業者への売却。
自治体や法人への寄付(ハードルは高い)。
3. 相続放棄した不動産はどうなる?権利関係の行方
相続放棄をすると、不動産の管理責任や相続権は、次順位の相続人(直系尊属や兄弟姉妹)へ移ります。
自分だけが手続きを済ませて安心していると、何も知らない親族に突然「固定資産税の通知」や「借金の督促」が届き、深刻なトラブルに発展することがあります。
法的義務ではありませんが、親族間トラブルを避けるために、相続放棄予定であることを次順位の親族への連絡をしておくと良いでしょう。
3-1. 一部の相続人のみ放棄する場合
共同相続人のうち、特定の人だけが放棄するケースでは、その人の相続分は他の共同相続人に帰属します(民法第939条)。
例えば、母と長男・次男が相続人の場合、長男だけが放棄すれば、不動産は母と次男で相続することになり、各相続人の持分が増加します。
この場合、放棄をしなかった相続人にとっては、不動産の取得持分が増える一方で、被相続人の負債や、今後の固定資産税・維持管理費の負担割合も増すことになります。
財産価値のない不動産であれば、残された家族に「負の遺産」を押し付ける形になりかねません。
事前に遺産分割協議のテーブルに着く前段階で、誰が放棄し、誰が承継するのかを話し合っておくことが重要です。
3-2. 相続人全員が放棄したときの相続財産管理人の登場
すべての法定相続人が相続放棄し、相続人が誰もいなくなった場合、その遺産は「法人(相続財産法人)」となります。
しかし、誰かが管理・処分しなければ宙に浮いたままです。
この場合、利害関係人(債権者など)や検察官の請求により、家庭裁判所が「相続財産清算人(旧:相続財産管理人)」を選任します。
清算人は、不動産を売却して現金化し、債権者への弁済や受遺者への分与を行います。
最終的に残った財産があれば、国庫に帰属させます。
注意すべきは、相続人全員が放棄しても、「次の管理者が決まるまで」は、元相続人に管理責任が残る場合があるという点です。
4. 放棄後の管理義務は続く?不動産管理のポイント
2023年の民法改正により、相続放棄後の管理義務は「現に占有しているかどうか」で判断されるようになりました。
相続放棄をしても、現在その不動産に住んでいる、あるいは鍵を管理している(現に占有している)場合は、次の管理者に引き渡すまで「保存義務」が残ります。
一方、遠方に住んでいて管理もしていない(占有していない)場合は、基本的に管理義務を負いません。
※改正前はここが曖昧でトラブルの元でした
なお、民法改正により管理義務は「保存義務」という名称に変更になりました。
4-1. 民法改正で変わった保存義務(旧:管理義務)のポイント
2023年の改正前は、単に「管理を継続しなければならない」と解釈され、遠方に住んでいて全く実家に関与していない相続放棄者であっても、空き家の管理責任を問われるリスクがありました。
しかし改正により、責任の主体が「現に占有している者」に限定されました。
これにより、遠方の実家を相続放棄した場合、元々そこに住んでおらず鍵も管理していない状態であれば、事実上の保存義務から解放されます。
ただし、すでに財産の一部を動かしていたり、頻繁に出入りして事実上の管理を行っていたりする場合は「占有」とみなされる可能性があります。
ご自身の状況がどちらに当てはまるかは、弁護士等の専門家に相談・確認することをお勧めします。
4-2. 保存義務を怠った場合のリスク
「保存義務」があるにもかかわらず放置し、第三者に損害を与えた場合、損害賠償請求を受けるリスクがあります。
このような場合、民法上の工作物責任等を問われる可能性があります。
また、自治体から「特定空家」に指定され、改善命令が出されることもあります。
占有している不動産を放棄する場合は、速やかに相続財産清算人の選任を申し立て、引き渡しを行うことが、リスク回避の鉄則です。
5. 相続財産管理人の役割と選任手続き
相続人全員が放棄し、かつ管理義務(保存義務)が残っている場合、その責任から完全に解放されるためには「相続財産清算人(管理人)」を選任し、財産を引き渡す必要があります。
相続財産清算人とは、家庭裁判所によって選任される弁護士や司法書士などの専門家です。彼らは放棄された遺産の調査、管理、換価(売却)、債務弁済を行い、最終的に財産を国へ引き継ぐ役割を担います。
申立てには、「予納金」と呼ばれる費用が必要になるケースが一般的です。
遺産の中に現金がほとんどない場合、申立人が数十万円〜100万円程度の予納金を負担しなければならないこともあります。
6. 相続放棄の手続き・必要書類・費用
相続放棄の手続きは、3か月という手続き期限があるため迅速な行動が必要です。
6-1. 3か月以内に手続きを行う必要性
相続放棄の申述期限は「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」です。
この期間内に裁判所に書類が到着していなければなりません。
もし、3か月以内に財産調査が終わらない、あるいは借金の有無が判明しないなどの事情がある場合は、期限が来る前に過程裁判所へ「期間の伸長(延長)」を申し立てることも可能です。
何もせず放置して期限を過ぎると、自動的に「単純承認」となり、借金を含めた全ての財産を相続することになります。
また、3か月以内であっても、遺産を使ったり処分したりすると「法定単純承認」とみなされ、放棄できなくなる点に最大の注意が必要です(民法第921条)。
これらの行為は「相続する意思がある」とみなされるため、絶対に避けてください。
6-2. 申立に必要な書類と手数料の目安
相続放棄手続きに必要な主な書類と費用は以下の通りです。
なお、相続放棄の申述人となる方の立場によって、必要となる戸籍謄本等の範囲が異なります。詳しくは、家庭裁判所に確認しておきましょう。
- 相続放棄申述書(裁判所のHPから可能)
- 被相続人の住民票除票又は戸籍の附票
- 申述人(放棄する人)の戸籍謄本
- 被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本
※関係性により必要な範囲が異なります
司法書士や弁護士への依頼する場合、専門家への代行費用(数万円〜)が別途かかります。
7. 相続放棄できないケースと対処法
以下のようなケースでは、相続放棄が認められない、あるいは手続きが無効になる可能性があります。
相続放棄が認められないかどうかについては、弁護士への相談で見立てがつくことがあります。早急な法律相談をお勧めします。
8. 相続放棄以外の方法で不動産を手放すには
不動産の管理をしたくないからといって、必ずしも相続放棄がベストとは限りません。
状況によっては、相続した上で処分する方が経済的メリットがある場合もあります。
8-1. 共有名義の場合は全員の合意が必要
相続によって不動産が共有名義(例:兄弟3人で3分の1ずつ)になった場合、その不動産全体を売却するには共有者全員の合意が必要です。
誰か一人が「実家を守りたい」と反対したり、連絡がつかなかったりすると、売却はできません。その結果、誰も住まない家の固定資産税だけを払い続けることになります。
共有状態はトラブルの原因となることがあります。
安易に共有登記をする前に、換価分割(売って現金を分ける)などを検討しましょう。
8-2. 売却で負債を軽減する方法
不動産に一定の価値があるなら、「限定承認」という方法もあります。
これは、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産(借金)を相続する方法です。
また、普通に相続(単純承認)した上で不動産を売却し、その利益で借金を返済し、手元に現金が残るなら、それが最も経済的です。
8-3. 寄付を検討する際のポイント
「タダでもいいから自治体に引き取ってほしい」と考える方も多いですが、現実は厳しいです。
自治体は、公園や道路用地など明確な利用目的がない限り、維持管理費がかかるだけの土地の寄付を受け入れません。
NPO法人や隣地所有者への譲渡も選択肢ですが、相手が見つかる可能性は高くありません。
9. 相続土地国庫帰属制度とは?手続き・メリット・デメリット
2023年4月27日からスタートした「相続土地国庫帰属制度」は、相続した不要な土地を国に引き渡すことができる新しい制度です。
9-1. 制度の概要と申請の流れ
この制度は、法務局に申請し、審査に通れば、負担金を納付して土地を国庫に帰属させることができます。
9-2. 制度を利用するメリット
9-3. 制度を利用する際の注意点・デメリット
一方で、要件は厳しく設定されています。
「どんな土地でも引き取ってもらえる」わけではない点に注意が必要です。
10. 相続放棄せずに不動産を所有し続けるリスク
もし決断を先送りにして、なんとなく不動産を所有し続けるとどうなるでしょうか。
10-1. 固定資産税や維持コストの負担
不動産を所有しているだけで、毎年固定資産税がかかります。
市街化区域にあれば都市計画税も加算されます。
さらに、草刈り、枝打ち、建物の修繕、火災保険料などの維持コストも発生します。
これらは、不動産を活用して収益を上げていない限り、純粋な「持ち出し」となり、家計を圧迫し続けます。
10-2. 複数の相続人で共有すると起こりやすいトラブル
前述の通り、共有状態で放置すると、将来的に「再建築できない」「売れない」といった事態に陥ります。
さらに相続が発生すると(数次相続)、共有者がネズミ算式に増え、面識のない数十人が共有者となり、事実上、手が付けられない「所有者不明土地」予備軍となってしまいます。
問題を次世代(子供や孫)に先送りしないためにも、ご自身の代で権利関係を整理しておく責任があります。
11. まとめ
不動産を含む相続問題は、時間が経つほど複雑化し、解決の選択肢が狭まります。
ご自身の状況において、「相続放棄すべきか」「相続して売却すべきか」「国庫帰属を利用すべきか」を判断するには、法律知識だけでなく、不動産の価値や将来コストの試算が不可欠です。
誤った判断で法定単純承認とみなされたり、管理義務違反で損害賠償を請求されたりするリスクを避けるため、専門家へ早めの法律相談をおすすめします。
たちばな総合法律事務所では、相続放棄手続きの問題について、無料相談を実施しています。
ぜひお気軽に、当事務所までご相談ください。
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