このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)
大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995
自由と正義の2015年12月号に独禁法に関する記事があり、公正取引委員会の意見聴取手続での証拠のコピーに関する記事もありました。
行政不服手続という点で、国税に係る審査請求と同じですが、コピーできる方法や範囲には、大きな差異があるようです。
差異として目を引いたのは、公正取引委員会の意見聴取手続では、①処分を受けた会社従業員の供述調書もコピーの対象であること、②証拠のコピーは、データを記録したDVDの貸与により実施されるという部分でした。
改正国税通則法の本年の施行時期前後を問わず、国税審判官が録取・作成した供述調書は、閲覧の対象にならない点で①が異なっていると思われます。理屈としては、審判所に属する行政文書だからということですが、控えくらいは欲しいという声はあります。また、①と関連しますが、施行前の現時点では審判所が職権で収集した証拠は、コピーの対象となっていません(本年の施行後は、原処分庁である税務署の任意提出であると職権による収集であると問わずにコピーの対象となります)。
また、施行前の現時点では、コピー機によるコピーすら認められず手書きで書き写さなければならない点で(本年の改正法施行後はコピー機によるコピーが認められます)、②も異なるというか、二周遅れていたんだなという印象を受けました。
国税不服審判所の証拠のコピーは、審査請求側からは、審判所の裁決後に裁判までするか否かという判断材料となります。そのため、審査請求側としては、国税不服審判所に対して、広く証拠収集していただいて、証拠開示してほしいところです。
そのため、国税不服審判所には、従前どおり積極的に証拠収集していただき、収集した証拠を開示対象とする運用を行ってほしいと願います。