このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)
大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995
海外の不動産株式などについて投資される方は、結構いらっしゃいます。純投資であれば、全く問題ないのですが、相続の場面では、日本の不動産と比較すると、①財産評価基本通達の適用が無いので路線価が使えない(時価どおりの評価となる。なお、路線価は時価の80%ほどで設定されていることが多いです)、借家減額などの減額も当然使用できない、②時価に関する資料(査定書、見積書)の収集にコストがかかる、③円安になると評価額が上振れする(相続税額が増える)という問題点があります。また、④評価額が5000万円を超えると、国外財産調書の提出が必要となります。さらにいうと、⑤相続に伴う名義変更ができるのか、どれくらいコストがかかるのかも考慮に入れておくべきでしょう(預金であればジョイント口座の利用が考えられますが、不動産の場合には大変なケースが多いようです)。
そのため、海外資産への投資については、インカムゲインやキャピタルゲインといった純投資の観点のほか、万が一死亡た場合の相続税法上の評価額はいくらになるのかという点も少しは配慮しておいた方が良いでしょう。