祭祀財産(墓地、仏壇、お骨など)の協議

2016.1.29

1 祭祀財産とは?

 よく勘違いされることですが、民法では、相続財産(簡単にいうと換金できる財産)と祭祀財産(お祭りをする財産。墓地、仏壇、お骨、先祖の過去帳など)を区別しており、相続財産の分割協議とは別に、祭祀財産についても協議する必要があります。そのため、相続財産の大半を承継すると、祭祀財産も承継しなければならないというわけではなく、相続財産は取得しなかったけど、祭祀を承継するという例もあります。
もっとも、お祭りするにはそれなりのお金がかかることがありますので、もしこれから遺言を書かれる方は、祭祀を承継する人に大目に財産を残す配慮はあってもよいと思われます。

2 法律では祭祀財産はだれが承継することになっている?

 民法では、被相続人の指定、指定がない場合には慣習、慣習が不明の場合には家庭裁判所が決定するとなっています。
もっとも、遺言などで祭祀承継者を指定していないことは多く、また「慣習」が明らかであることは少ないです。
そのため、遺言などで祭祀承継者の指定がなく、当事者間での話し合いがつかない場合には家庭裁判所が決めることになります。

3 家庭裁判が考慮する要素

 そして、家庭裁判所は、祭祀承継者を誰にするかについて、被相続人(故人)の意思を最も重視します。また、その他の事情としては、被相続人と承継候補者との身分関係、生前の交流状況、祭祀財産の場所(承継候補者の住所との距離)、祭祀財産の取得の目的や管理状況、祭祀を主宰する意思や能力の程度を考慮して判断されますが、これらの事情は故人の意思を推測するための事実と考えたほうがわかりやすいかもしれません。
そのため、裁判例の中には、家を継いだ息子ではなく、結婚により姓が変わった娘を指定したもの、民法上財産管理能力がない成年被後見人を指定したものがあり、故人の意思を非常に尊重しています。

4 祭祀承継したら、氏の変更は?

 なお、祭祀を承継した場合、故人の氏と祭祀承継者の氏とが異なることがありえます。
この場合に、祭祀承継者が氏の変更ができるかですが、祭祀の承継と氏とは、無関係ですので、祭祀を承継したという事実だけでは氏の変更は認められません。

5 祭祀承継者を誰にするかでもめたら

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このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)

大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995

事業承継・相続 に関する解決事例

  • 橘高和芳弁護士が担当した遺産相続に関する事例が
「金融・商事判例 No.1553号」(2018年11月15日号)
に掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
週刊ダイヤモンド「相続&事業承継(決定版)」(2018年12月号)
に掲載されました
  • 相続問題事例
  • 遺産相続・遺言書に役立つ書式集
  • 遺産相続トラブル解決チャート
  • 2016年10月 日経MOOK「相続・事業承継プロフェッショナル名鑑」のP84に「羽賀・たちばな会計事務所」が、P134に「たちばな総合法律事務所」が掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
「フジサンケイビジネスアイ」
に掲載されました
(2015年11月2日(月)27面)
  • 旬刊「経理情報」2016年4月20日号(NO.1444)に「D&O保険の保険料にかかる税務ポイント」を寄稿いたしました。