親子会社とするメリットなど

2015.12.26

1 親子会社のメリット

 親子会社は、事業について子会社に任せ、親会社が人事やグループ全体の方針決定に専念するなど役割分担するところにメリットがあると言われています。
また、親会社と子会社は、法人格が別々ですので、例えば子会社の営業停止などの行政処分を受けても、親会社や兄弟会社への波及を阻止しうるというメリットもあります。
さらに、税務面(相続税)でも、順調に成長する、又は成長すると見込まれる事業について子会社に任せ、親会社が子会社の株式を保有することで、オーナーが保有する親会社株式の評価額を下げることが可能となります(財産評価通達185。子会社の含み益に対する法人税相当額の控除)。
このように、親子会社には、役割分担による意思決定の迅速化、営業面、税務面のメリットがあります(手続としては会社分割などがあります)。

2 別人格ゆえの管理コストも

 もっとも、親子会社の場合は、別人格ですのでそれぞれ税務申告する必要がありますし(設立当初は青色申告の届出等を忘れないようにする必要があります)、グループ法人税制の適用の可否など検討する必要があります。
また、親会社の取締役などの役員は、子会社の不正行為の有無等について監視する義務を負っています(福岡地裁平成23年1月26日判決)。親会社の役員は、内部統制システムを整備する責任がありますので(会社法362条4項6号・規則第100条1項5号)、子会社の情報管理体制を整備し、継続的にメンテナンスする必要があります。さらに、経理や総務などのバックオフィス部門を子会社に持たせるのか、親会社が一元管理する場合には子会社からもらう委託代金の設定をどう見積もるかなどの問題があります。
このように、親子会社は、意思決定が早くなるなどのメリットがありますが、別人格ゆえの管理コストも発生しますので、その点をよく検討して決定する必要があります。

このコラムを書いた弁護士
弁護士 橘高和芳(きったか かずよし)

大阪弁護士会所属 52期/登録番号:27404
近畿税理士会所属 税理士/登録番号:130995

事業承継・相続 に関する解決事例

  • 橘高和芳弁護士が担当した遺産相続に関する事例が
「金融・商事判例 No.1553号」(2018年11月15日号)
に掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
週刊ダイヤモンド「相続&事業承継(決定版)」(2018年12月号)
に掲載されました
  • 相続問題事例
  • 遺産相続・遺言書に役立つ書式集
  • 遺産相続トラブル解決チャート
  • 2016年10月 日経MOOK「相続・事業承継プロフェッショナル名鑑」のP84に「羽賀・たちばな会計事務所」が、P134に「たちばな総合法律事務所」が掲載されました。
  • 弁護士・税理士 橘高和芳が
「フジサンケイビジネスアイ」
に掲載されました
(2015年11月2日(月)27面)
  • 旬刊「経理情報」2016年4月20日号(NO.1444)に「D&O保険の保険料にかかる税務ポイント」を寄稿いたしました。